はじめに
デジカメの出荷台数は減少も単価は上昇
じつはデジカメ自体の出荷台数は減少していますが、ミラーレスカメラでは、70~90万円ほどのプロ・ハイアマ向けの高級品が主流のため、単価は大幅上昇しているのです。その恩恵をタムロンは受けていることになります。
画像:タムロン「2023年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
直近11月2日に発表された2023年12月期第3四半期決算でも引き続き好調が確認されました。①売上高51,783(百万円)②前年同期比+8.5%、③営業利益10,182(百万円)、④前年同期比+19.5%。営業利益の通期予想に対する進捗率は81.4%なので、軽く目標は達成できそうです。
決算短信によると「一眼レフカメラは数量ベース、金額ベースとも4割弱減と大幅減となりましたが、ミラーレスカメラは、数量ベース、金額ベースとも約2割増となりました」とあり、ミラーレスカメラの存在感が増していることがわかります。
画像:タムロン「決算説明会資料」
2023年度を最終年度とする中期経営計画「Vision23」では、当初の計画①売上高610億円、②営業利益70億円だったところ、前倒しで達成したため、③売上高700億円、④営業利益115億円に引き上げています。おそらくこれも余裕でクリアしそうです。
タムロンのようにBtoBの製品取り扱いがメインの企業の場合、わたしたち個人投資家はなかなか気づきにくいものです。たまたまわたしは、四季報で販売先がソニーとなっていたため「ん?」と引っかかりましたが、デジカメオワコンと最初から決めつけていたら出会えなかった銘柄です。そういった偏見を捨て、つねにアンテナを張っておくのは大切ですね。
業績は好調ですが、残念なニュースもありました。2023年の8月、代表取締役が、経費を過去5年にわたり私的に流用していたことが発覚し、その後退任。株価は、その直前に過去最高値をつけましたが、このニュースをうけて下落。しばらくは調整していましたが、第3四半期決算発表以降は回復しつつあります。新体制で高値超えを目指してほしいです。
最後におまけですが、タムロンの株式の10%を、”モノ言う株主”として名高いエフィッシモが握っています。自己資本比率80%でキャッシュリッチですから、株主還元をうながす発言などもあるかもしれません。そんな思惑も株価を押し上げてくれる要因です。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。