はじめに

いざ定年を向かえると、さまざまな手続きが必要になります。手続きには期限が設けられているものが多いため、直前になって慌てることのないように、事前にどのような準備をしておくべきかを知っておくと安心です。

今回は、定年前に準備しておく内容について解説します。


ライフプランを立てる

定年が近づいたときに、まず行なっておきたいのは、定年後のライフプランを立てることです。定年後にどのような生活を送りたいかを夫婦で話し合うことで、どのくらいの資金が必要になるかを把握できます。

生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」によると、老後を夫婦2人で送るうえで必要な生活費の平均は、最低で月23万2000円です。さらにゆとりのある老後を過ごしたいなら、生活費の平均は月約38万円です。

50歳以降に届くねんきん定期便や、会社の規定などから想定される年金、退職金額を把握し、不足が発生しないかどうかを確認しておきましょう。

また、ライフプランを立てるうえで、自分が介護状態になった際にどのようにしてもらいたいかを考えることも大切です。公的な介護サービスだけでいいのか、もしくは民間の介護施設を利用したいのかで必要な金額も変わります。

不足が発生するなら、生活水準を見直すか、さらに運用などで資金を増やす方法も考えなければなりません。

そのためにも、ライフプランについては、定年予定の5年前までにはある程度の見通しを立てておきましょう。その後、具体的な退職金額などが分かるにつれ、見直していくことをおすすめします。

健康保険について

定年退職後に加入する健康保険についても考えておく必要があります。会社員なら、現在加入している健康保険組合の任意継続被保険者になるか、国民健康保険の被保険者になるかのいずれかを選ばなければなりません。

●任意継続のメリット
従来加入していた健康保険組合のサービスが引き続き受けられる点が、任意継続被保険者になる大きなメリットです。特に、健康保険組合によっては、年に1度の人間ドックの費用を補助してくれるところもあります。

国民健康保険でも無料検診やがん検診などを行なっていますが、自分で申込む必要があるほか、一部の検診では自己負担が発生します。

●任意継続のデメリット
任意継続被保険者になると、それまで会社が半分負担してくれていた保険料を、全額負担しなければなりません。保険料は加入している健康保険組合によって異なりますが、負担が大きくなる点には注意しておきましょう。

国民健康保険料は、前年の所得によって計算されますので、場合によっては国民健康保険に加入する方が保険料は安くなる可能性もあります。

任意継続被保険者になるには、退職した日の翌日から20日以内に手続きを行なう必要がありますし、国民健康保険に加入するなら、退職日の翌日から14日以内に手続きをしなければならないため、事前によく考えて決めるようにしましょう。

(編注:当初「任意継続被保険者期間は2年間ですが、1度任意継続被保険者になることを選択した場合、原則として途中で止めることはできません」としておりましたが、令和4年1月1日以降、「本人希望による保険者への申出」により、脱退することが可能となっておりました。訂正してお詫び申し上げます。参照元:全国健康保険協会「本人の申出による任意継続健康保険の資格喪失が可能になりました」)

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