はじめに
2024年から新NISA制度が始まるにあたり、今までに比べると非課税投資枠が拡大され、非課税期間が無制限となるため、自由度が高い分、今までの一般NISAと同じように購入していくか、迷う人も多いことでしょう。
今回は、寄せられた質問から、新NISAの活用法について考えていきます。
新NISAをどのように活用したら良いか
ご相談者は41歳の一般企業にお勤めの女性です。ご主人は43歳公務員、子どもは2人(中学校1年生・小学校5年生)の4人家族です。現在は、上のお子さんが中学校に入学したのを機に時短勤務から通常勤務に切り替えました。そのため、引き続き積立投資をしていきたいと考えています。
特定口座で毎月5万円ずつ積立投資を行っていましたが、2019年よりNISA口座を開設し、一般NISAで積立投資を続けています。特定口座には400万円積み上がっており、NISA口座には、360万円の残高があります。
新NISAに向けて、これからどうすればよいか?というご相談です。
2019年分のNISAについて
今までの一般NISAは5年経過したのち、売却しない場合、ロールオーバーといい、その年のNISA枠を利用し、保有継続することができました。そのため、解約するか保有するかの選択ができました。しかし、2019年度分のNISAは、2024年に迎える新NISAに切り替わるため「ロールオーバーできない」という問題があります。
そのため、売却し現金化するか、そのまま保有し続け特定口座に移行するか、いずれかを検討しなければなりません。
こちらのご相談者は2019年分のNISAに80万円、2020年分に75万の残高があり、2023年現在も一般NISAを続けています。そのため、一般NISAの非課税期間である5年間、つまり、2028年まで毎年、現金化するか、特定口座に移行するかを都度検討する必要があります。
##非課税の恩恵を受けることを優先する場合
もしNISA口座ではなく、特定口座だった場合、売却すると得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。ご相談者の場合、2019年は元本が60万円に対し、現在80万円ですので、この増えた分の20万円に対し、20%の4万円が税金として差し引かれるところが、NISA口座のためこの4万円は掛かりません。
もしそのまま特定口座に移管されたら
ご相談者は、すでに特定口座に400万円ほどあり、仕事も通常勤務に切り替えたため、今、特段、現金の必要性がありません。そのため2024年からの新NISAも生活費から投資分として毎月捻出する予定です。そのため、2019年NISAをわざわざ売却する必要性が本来はありませんが、ロールオーバーできないため検討しています。
2024年に特定口座に移行されるのは、元本の60万円ではなく、そのときの評価額です。もし評価額が90万円と増えていたとしても、移行されるときに課税されるのではなく、あくまでも売却時に課税されるため、特定口座に移行した直後に課税されることはありません。
仮に特定口座に90万円が移り、翌月92万円の評価額となり、売却したとします。この場合、差額の2万円に対して約20%課税されるため、4,000円が税金として引かれます。
元本が60万円でしたから、その差額の32万円に対して、課税されると勘違いしがちですが、そうではありません。こう考えると慌てて売却する必要がないともいえます。