はじめに
借り換え諸費用も含めた総支払額をくらべる
いくら金利が低くても、借り換えをするには費用がかかるため、金利だけではなく、手数料を含めた総支払額をくらべてみましょう。
住宅ローンの借り換え時には、前のローンで抵当権抹消登記費用や全額繰り上げ返済の手数料がかかることが多く、新しい借入先では抵当権設定登記や印紙税、事務手数料などを支払う必要があります。
たとえば、ある金融機関で借入残債4000万円を借り換えた場合の諸経費の総額は116万2000円でした。
・抵当権設定・抹消費用 23万2000円
・事務取扱手数料 88万円
・その他登記関連費用 3万円
・印紙税 2万円
最近は金利を低くする代わりに事務手数料を定率型にするところが増えており、借り換えの金額が大きくなると諸経費も膨らみます。そのため、前のローンとの金利差が小さい場合や残りの返済期間が短い場合などは、思ったほど借り換えの効果が出ないこともあります。
選ぶローンの種類によっては、返済額が増えることもある
借り換えをしたローンによっては、返済額が増えることがあることも頭にいれておきましょう。たとえば、変動金利型で借りている人が、今後は変動金利も上昇しそうなので、20年固定金利型のローンに借り換えたとしましょう。2023年11月現在、20年固定金利のローンは、1.5~2.2%の借り換え金利になっているので、変動金利にくらべると毎月の返済額が増える人がほとんどでしょう。
また、固定金利型から金利の低い変動金利型に借り換えた場合には、当面の金利は低いので月々の返済額は抑えられたとしても、将来変動金利が現在の固定金利以上の水準にならないとも限りません。返済負担が増えた場合に、どのくらいまでの金利上昇に対応できるのかを考えておきましょう。
借り換え時にも審査がある、場合によっては住宅ローン控除が受けられない場合も
借り換えをする場合には、借入先の金融機関で審査を受けます。過去にローンの審査に通ったからといって、再度通るとは限りません。借りる人の健康状態が悪化している、転職したばかりだというときは、借り換えが難しくなります。借り換えの審査に通りやすくするためには、住宅ローン以外の借入れを返済して返済負担率を下げておくなどの対策も必要になります。
また、住宅ローン控除を受けるためには、借り換えのローンが当初の住宅ローンの返済のためであることと、借り換え後のローンの期間が10年以上なければなりません。
借り換えのローンの期間が9年と短くなってしまった場合には、住宅ローン控除の適用はできなくなります。また、借り換えで住宅ローンの返済期間が長くなったとしても、当初の住宅ローン控除の残りの期間を引き継ぎます。
借り換えの条件が変わっても、住宅ローン控除の期間が延びることはないので、住宅ローン控除が適用になる条件かも確認しておきましょう。