はじめに
フローレンスの挑戦:こどもの体験格差をなくそう
「こどもの体験格差」という新たな社会課題の解決に向けて、様々な団体が取り組みを開始しています。
例えば、公益社団法人 チャンス・フォー・チルドレンでは、子どもの体験奨学金事業「ハロカル」で、寄付を原資に全国の経済的に厳しい家庭の小学生に、スポーツや音楽・芸術活動などの体験活動で利用できる電子クーポンを提供しています。
また、リディラバ代表の安部敏樹氏らが発起人となって立ち上げた「子どもの体験格差解消プロジェクト」では、経済的困窮や、不登校などの社会的に孤立しやすい状況にあるこどもたちを無償で招待する宿泊型体験プログラムを開催するなどの取り組みを行っています。
わたしたち認定NPO法人フローレンスも、2023年夏、こどもの体験格差を解消するために「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」を実施し、全国約3,000世帯のご家庭にレジャー施設やプログラミング教室などでの体験を届けました。
「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」によるプログラミング教室の体験の様子
体験を届けたご家庭から届いた声をご紹介します。(プライバシーに配慮し、いただいた感想を一部加工して掲載しています)
●プログラミングは8歳の子には難しいのでは…というイメージがあったのですが、とても分かりやすく教えてくださったおかげで楽しく参加することができました。帰宅後もずっと、「楽しかった」「良い一日だった」と喜んでいました。また新たな興味を引き出していただけたと思っております。素晴らしい体験をありがとうございました。
また、体験格差は経済的な事情だけでなく、障害を持つ障害児・医療的ケア児や、そのきょうだい児も同様の問題を抱える当事者です。2014年より障害児家庭支援にも取り組んできたフローレンスは、重度障害児・者のe-sports大会や、医療的ケア児のおやこ映画会などを企画し、障害のあるお子さんやそのきょうだい児も含めたご家族にも体験の機会を提供してきました。
「医ケア児おやこ映画会」の様子。障害のあるお子さんやそのきょうだい児、ご家族などが集まり映画を楽しんだ
こうした取り組みを行う中でフローレンスには、経済的に厳しい状況に置かれた当事者のご家庭や障害児・医ケア児家庭からの悲痛な叫びと、こどもたちに学びや体験の機会をもっと与えたいという切実な思いも多く寄せられました。こどもたちが体験を必要としているのは、夏休みや特別な日だけではないということ。こどもの『体験』は人生を彩り、心を育む上で重要なものです。こどもたちの心を豊かに成長させるために、もっと恒常的に様々な体験をする機会を必要としているということがわかったのです。