はじめに

●その4:業種分散・銘柄分散の視点も取り入れる
リスクと上手く付き合うためには、株式投資においても、分散投資の観点が重要です。違う業種の銘柄を買うようにすれば、仮にある業種が値下がりしても、他の業種の値上がりでカバーする「分散投資」の効果が得られます。

株式市場で注目される銘柄は、景気や金利の動向によって異なります。

【景気・金利と注目される業種の関係】

(株)Money&You作成

景気が弱いときには、景気に左右されない不況に強い銘柄が好まれます。反対に、景気がよくなるときにはハイテク株、金融株、工業株、消費循環株(自動車や宝飾品などの高級品)、素材株などが好まれる、というわけです。

景気は良くなったり悪くなったりと循環します。ですから、業種が偏ることのないようにしておくことが大切です。単元未満株を利用すれば、少額でもさまざまな業種・銘柄に分散投資が可能です。

ただし、たくさんの銘柄数に分散投資すれば良いというわけではありません。一般的に25〜30銘柄を超えると、リスク軽減効果はなくなってくるとされています。そもそも、保有する銘柄数が多すぎても管理するのが大変です。10〜20銘柄程度に留めておくのがよいでしょう。

●その5:15年以上長期保有することで元本割れの可能性がゼロに近づく
投資の名著として知られる『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール著)では、主要な金融資産の超長期の年平均リターン(1926年〜2020年)が次のように紹介されています。

<主要な金融資産の超長期の平均リターン(1926年〜2020年)>

「ウォール街のランダム・ウォーカー」を元に作成

こうしてみると、債券よりも株式の年平均リターンの方が高いことがわかります。しかし、同時に株式のリスクは債券よりずっと高いこともわかります。実際、同書によると、対象の年の30%は年間のリターンがマイナスになっていると紹介されています。

ただ、このようにリスクとリターンの高い株式を長期保有していた場合はどうでしょうか。

<株式投資(S&P500)と年平均リターンのちらばり方(1950年〜2020年)>

「ウォール街のランダム・ウォーカー」を元に作成

米国の株価指数「S&P500」に1年から25年までの間投資した場合の年平均リターンのちらばり方(ブレ幅)を表したものです。投資期間が1年間だと、50%以上のリターンを出す年もあれば、37%も下落する年もあります。つまり、リスクが大きいのです。しかし、5年・10年間の投資となると下落のリスクが少なくなり、15年になるともっともリターンが少ない年でも4%と、プラスに転じています。つまり、15年以上保有していれば元本割れをしていない、ということが示されています。

ただ、これをもって将来絶対値下がりしない、とまでは断言できません。とはいえ、15年以上保有していれば元本割れせずに資産を増やせる可能性がかなり高いといえます。

●その6:投資タイミングを考えるなら「上がり始めたら買う、下がり始めたら売る」
長期・積立・分散投資は、投資のタイミングを考える必要のない投資ですが、株式投資では、タイミングを計った投資がしてみたいという方もいることでしょう。

投資のタイミングはシンプルで、「上がり始めたら買う、下がり始めたら売る」が鉄則です。個人投資家として230億円もの資産を築いたcis氏の著書『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』(KADOKAWA)には、「上がっている株を買う。下がっている株は買わない。買った株が下がったら売る」と、順張り(相場の流れに従って売買すること)が基本だと説いています。

また、「村上ファンド」で話題になった村上世彰氏の著書『生涯投資家』(文藝春秋)には、父親の教えとして「上がり始めたら買え。下がり始めたら売れ。一番安いところで買ったり、一番高いところで売れたりするものだと思うな」という話がでてきます。村上氏はその教えを愚直に守り、成功している投資家の一人です。

両者はまったく別の経歴を持つ方ですが、投資タイミングの基本の考え方は一致しています。市場の勢い(モメンタム)の力は大きいので、個人投資家が逆らっても勝ち目はありません。マーケットの動きに合わせて売買することが負けないポイントといえそうです。

新NISAの成長投資枠で株式投資を始めたいと思っている方は、ぜひ投資行動の参考にしてみてください。まずは少額から株式投資を始めるのがリスクも低く、おすすめです。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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