はじめに
残りの人生はどんな暮らしを望みますか?
Kさんにこれからどんな生活をしたいかを伺うと「特別な贅沢をしたいとは思いません。今までと変わらない生活ができれば幸せです。そして、子どもや孫が困った時にはサポートしてあげたいし、何か必要なモノがあれば買ってあげたいです」とのこと。
Kさんは、高校生の時にお父様を亡くし、生活に大変苦労しました。大学進学も希望していましたが叶いませんでした。そんな経験もあって、「子や孫のために」という思いが人一倍強いようです。
では、Kさんの家計はどのような状況かを確認しましょう。Kさんと夫の年金額(国民健康保険料や介護保険料、税金を引いた年金額)は410万円で、支出額は年間約360万円です。夫婦2人で貯蓄を取崩すことなく年金だけで生活ができる上に、年約50万円の貯蓄ができる黒字家計です。今後、リフォームや車の買い替えも希望されていますが、貯蓄から賄っていくことが可能です。
Kさんに子や孫に今現在どのくらいお金を使っているか?また使い続ける予定か?を聞いてみました。
「今現在は帰省の際に日用品や食料品をたくさん買って持たせる他、お小遣いも渡しているので年50万円くらいは使っているのではないでしょうか。今後も自身が80歳くらいまでは同じようなイメージでいます」とのことでした。
リタイア後の生活は、資金を取り崩すペースが大切
もし仮にKさんが年間50万円をこれから10年間、合計500万円使ったとしたら、10年後のKさんの家計状況はどうなっているのでしょうか。
70歳から80歳までの10年間に、家のリフォームに200万円と車の買い替え300万円、家電買い替え50万円を予定しています。それに加えて、子や孫に合計500万円使うとなると、10年後の家計の貯蓄額は約1,950万円となります。
10年後のKさん80歳時に、約1,950万円の貯蓄と夫婦2人で年金約400万円があれば、子や孫に年50万円使うことは実現可能でしょう。しかし、車の買い替えの年(Kさん夫73歳・Kさん71歳)には年間収支マイナス約250万円、リフォームと家電買い替えの年(Kさん夫75歳・Kさん73歳)は年間収支マイナス200万円となります。ご自身のことにお金が必要な時は、それを第一優先とし、子どもや孫に使うお金で調整が必要になりそうです。
まずは自分たちのゆとりある生活を確保した上で、残った資金で「子や孫のために」できる範囲で援助をしてあげるようにしましょう。リタイア後の生活は、資金を取り崩すペースが非常に大切です。