はじめに

将来必要になる介護資金も忘れずに

意外と見落としがちなのが介護資金です。公益財団法人生命保険文化センターが行った「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」によると、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計は平均74万円、月々の介護費用は平均約8.3万円(年間約100万円)で介護期間は平均約5年とあります。

一時的な費用74万円+(介護費用月8.3万円×12ヵ月×5年)=572万円となり、介護費用は平均約600万円かかるという計算になります。これはあくまで平均額のため、どのような介護サービスが必要かによって、費用は大きく異なります。

介護にかかる費用もしっかり見積もっておい方が良いでしょう。

次世代のために財産整理を

最後に、子や孫のことを思うのであれば、忘れずにやっておいてほしいことがあります。それは、Kさんの夫やKさんに万一のことがあった時に、次世代が困らないように財産の整理をしておくことです。

自宅不動産は誰に託したいのか、取引のある銀行はどこなのか、生命保険はどの保険会社で契約しているのか…。自分たちの財産をどのように遺したいのかを生前に意思表示しておいてください。親世代のKさん夫婦から次世代へ伝えておくことで、要らぬトラブルを避けられます。

エンディングノートや遺言を活用する方法もあります。これらの方法を利用するのであれば、適切な判断ができる元気なうちに早めに準備することをおすすめします。

子や孫を大切に思うなら、資産を取り崩すペースが重要

一度きりの人生、自分の好きなお金の使い方ができることはとても幸せなことです。このようなお金の使い方ができるのは、これまでKさん夫婦が築き上げた財産があるからです。

せっかく築きあげた資産だから…と使わないままでは意味がありませんが、使い過ぎも避けたいですよね。資産を取り崩すペースというのは、意外と自分では分からないものです。

贈与まではいかない今回のケースでも、事前にライフプランを作成し、自身の目標のためにいくら資産を取り崩すのかを把握した上で、残りの資産を計画的に使うことができれば家族も安心でしょう。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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