はじめに
投資信託の再投資は運用効率を下げる
第二の理由は、投資信託は基準価額が上下する価格変動商品であるのと同時に、分配金自体、決算日ごとに一定額が払い出されるとは限らないということです。
投資信託の分配金は、支払いルールが明確に決められているわけではなく、毎決算期にいくら払い出すかは、投資信託会社の判断に委ねられています。今期100円の分配金が支払われたとしても、来期に同額の分配金が支払われる保証はないのです。
もっと言うと、分配金を払い出すと、運用資産の一部を取り崩す形になります。たとえば基準価額が1万2000円で決算日を迎え、払い出された分配金が1000円だとすると、分配金払い出し後の基準価額は1万1000円に値下がりします。
そして、課税後の分配金で同一の投資信託を買い付けたとしても、税金が差し引かれた分だけ、課税後の本人の持ち値は下がってしまいます。1000円に20%を課税した後の分配金の手取り額は800円ですから、それを分配金払い出し後の基準価額である1万1000円に再投資したとしても、再投資後の持ち値は1万1800円になってしまいます。それなら分配金を払い出さず、1万2000円のまま運用し続けてくれた方が、はるかに投資効率は上がるはずです。