はじめに

難局においても成長

まずは1月9日に発表された2023年11月期の着地の数字を見てみましょう。

画像:ネクステージ「2023年11月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

①売上高は463,464(百万円)、②前年比10.8%、③営業利益16,084(百万円)、④前年比-17.3%と、二桁の減益となっています。ただし、決算説明書を見ると、当社が主要KPIとしている小売販売台数、買取台数、車検台数、収入保険料はすべて前年比で20%以上増加しています。

画像:ネクステージ「2023年11月期 決算説明資料

当社は、販売店、買取店、整備店、輸入車新車ディーラーの4事業部から構成されていますが、すべての事業部で売上高、売上総利益は前年比でプラスとなっています。つまりトップラインである売上と、原価を引いた売上総利益までは、この難局においても成長していたことになります。

画像:ネクステージ「2023年11月期 決算説明資料

では、なぜ営業利益が減益になってしまったかというと、人件費の増加、店舗数が増加したことによる水道光熱費などの増加、販促費の増加などが挙げられています。つまりは、コストの増加率が、売上の成長率より大きかったことによるものです。言い換えれば、売上の成長が足りなかったともいえます。たしかに、2022年11月期は、前年比で売上が43.6%増収しています。それ以前を見ても、おおむね30%後半の伸び率で成長していますので、今期10%の伸びは、当社にとっては物足りない結果でした。

23年11月期を四半期ごとにふりかえってみると、22年11月~23年2月の第1四半期決算は、営業利益が1,769(百万円)と、前年同期比で-59.6%と大きく落ち込んでいます。これは、それ以前に半導体不足で新車の販売が落ち込んだ影響で、中古車需要が高まったため、高い価格で買い取った車体を、市場の落ち着きとともに、安い価格で販売せざるをえなかったという事情があります。

その後の第2四半期、第3四半期では、適正な価格で販売することができたため、営業利益も前年比で二桁のプラスを回復していました。そのままいけば、おそらく23年11月期も過去最高益更新したと思われますが、件の報道により来店者数が落ち込み、業績を悪化させました。企業にとって信用がいかに大事かが分かりますね。

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