はじめに

確定拠出年金の止め方とNISAの止め方は違う

会社で企業型確定拠出年金(企業型DC)をしている方も多いことから、最初のアドバイスは資産状況を確認するところから始まります。今回は企業型DCとNISAの出口の違いをご説明します。

確定拠出年金の止め方としては、資産を一括で受け取る方が税制優遇のメリットを受けやすくなります。例えば60歳で受け取るのであれば、それまでの加入期間を勤続年数として退職所得控除が計算できます。

ただし企業型DCと同時に退職一時金も受け取る場合、そちらと合算でかつ退職所得控除はどちらか一方の利用となるため注意が必要です。定年時の勤続年数が37年といった場合、退職一時金の退職所得控除が1990万円です。退職一時金の額がそれより下回る場合は企業型DCも一緒に受取り、退職所得控除を有効に利用することを考えることが多いです。

一括受取りを視野に入れると、選ぶべき投資商品はバランス型ではなく日本株や先進国株、新興国株などのアセットクラスの投資信託を組み合わせてポートフォリオを組んだ方が良い場合もあります。

これは一括受取り直前の株式市場の暴落などで資産が目減りするリスクを抑えることが目的です。そのためには、スイッチングを行う必要があるからです。スイッチングとはあるファンドを売って、その資金で別のファンドを買う行為です。例えば新興国株を売却し、日本の債券に投資する投資信託を購入していきます。

ある程度の時間をかけて、投資リスクを抑えたポートフォリオ、例えば受取り前は全額定期預金などにスイッチングをしておけば、引出後の計画もより立てやすくなります。

企業型DCを全額受け取った後であっても、厚生年金加入で働いている方であれば、iDeCoの利用が可能です。例えば65歳まで5年間iDeCoを利用するとその間掛金は全額所得控除になるため節税になります。またこの5年間で新たに退職所得控除200万円を創ることができるため、受け取る際にも税制上のメリットとなります。

この退職所得控除を利用して65歳にすぐに資金を引き出したい場合、前述した通りリスクのとりかたは時間で考えます。前半では株式中心で投資を行い後半は安全資産を多くすることも必要です。

iDeCo加入による退職所得控除は、いつ引き出しても200万円利用できるので、時間がとれる方は最長75歳まで運用のみ継続可能です。その間積極的に運用をしたい場合、ポートフォリオはもちろん違ってきます。

75歳から20年間の年金受け取りを選択すると、運用しながら取り崩す手法も選べます。その場合は公的年金等控除を利用しますが、大企業の方で確定給付企業年金(DB)が60歳から75歳までの確定受取りという場合、その後の年金としてiDeCoを活用することも可能です。

75歳からの年金受け取りを考えると、60歳でなにも企業型DCを一括受取りしなくても良い方もいらっしゃいます。特に退職一時金で退職所得控除のほとんどを使いきり、企業型DCを受け取ると課税が大きくなるような場合、DB終了後の年金としてDCを利用することも有効です。

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