はじめに

分配金利回りと利率の違い

投資信託は、1年間に1度、あるいは複数回の「決算日」が設けられていて、この日に、投資信託会社が、前回の決算日からの運用で得られた運用収益のうち、投資家にいくら分配するかを決め、その額を受益者に支払います。

たとえば前決算日から今決算日までに得られた値上がり益と株式の配当金、債券の利金の合計額が2000円で、今決算日時点の基準価額が1万3500円だったとしましょう。この2000円から1000円を分配金として支払われたとすると、分配金支払後の基準価額は、1万2500円に値下がりします。これが「分配落ち後基準価額」と称されるものです。

投資信託の分配金と、預貯金の利息は、往々にして混同されがちなのですが、両者は似て非なるものです。

確かに、投資信託の分配金も、また預貯金の利息も、「インカムゲイン」として区分されますが、預貯金の利息は、預け入れる時にその率が決められているのと同時に、支払われた後も元本の額は変わりません。預け入れた元本が100万円で、1年後に年1%の利息が支払われるとしたら、利息は1万円であり、その利息が支払われた後の元本は100万円に戻るだけです。

これに対して投資信託の分配金は、利金と似ているように見えますが、分配金がいくらになるのかは、その決算日までの運用次第です。運用成績が悪くて基準価額が下落している時は、分配金が支払われない恐れもあるのです。

加えていえば、預貯金の場合、利息を支払った後も、元本は預入時と変わりませんが、投資信託の分配金は前述したように、それが支払われた後、分配落ちといって、基準価額が下落します。ここを詳しく説明するとややこしくなるので、ここではひとまず割愛しますが、決算日に支払われる分配金の額によっては、分配落ち後の基準価額が、そのファンドを購入した時の基準価額より下回ることもあります。

決算日に支払われた分配金の額を、購入した時の基準価額に対して何%かを示す「分配金利回り」という概念があるものの、上記の分配金の特性上、預貯金の利率と同一視してはいけません。まったくの別物と考えるようにしましょう。

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