はじめに
自由な働き方を求めてフリーランスへの転身を考えている会社員の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
内閣官房日本経済再生総合事務局(令和2年5月)「フリーランス実態調査結果」によると、実際にフリーランスとして働く人たちが今の働き方を選択した理由を、6割が「自分の仕事のスタイルで働きたい」、4割が「働く時間や場所を自由にするため」と回答しています。
働き方の変化は暮らしにも大きな変化をもたらします。「こんなはずではなかったのに…」とならないためには、変化について具体的に知っておくことが大切です。今回はフリーランスになる前に知っておきたい「社会保険制度」について解説します。
実は手厚い会社員の社会保険制度
社会保険とは、病気やケガ・死亡・出産・失業・高齢などのリスクに備える公的制度です。会社員にとって関係がある社会保険は「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」があります。
①健康保険
健康保険は、病気・ケガをしたときや亡くなったとき、出産をしたときなどに、医療費の一部負担や各種給付金が支給される制度です。会社員本人とその本人に扶養されている家族に適用されます。医療費の自己負担は基本3割で、残りは加入している保険組合が負担します。健康保険料は会社が半分負担してくれています。これを労使折半と言います。
②厚生年金保険
厚生年金保険は、会社員など企業で働く人が将来の生活に備える公的年金保険制度です。厚生年金の保険料には国民年金(基礎年金)の保険料も含まれるため、将来は国民年金(基礎年金)と厚生年金の両方を受け取ることができます。健康保険と同様に、厚生年金保険料は会社が半分負担してくれています。
③介護保険
介護を社会全体で支える制度で、40歳以上の方は全員加入します。原則65歳以上で要介護や要支援になった方が、介護サービスを利用する際に、費用の一部が保障されます。
④雇用保険
失業したときや教育訓練を受けるときに給付を受け取れる制度です。育児や介護のために仕事を一時的に休むときにも雇用保険から給付金が支給されます。
⑤労災保険
会社員など雇用されている人が仕事中や通勤途中に起きたケガや病気で障害を負ったり、死亡したりした場合に保険給付を受け取れます。
会社員の場合、社会保険料は基本的に給与から天引きされるため、どれだけの保障に守られているかを実感できる機会があまりありません。しかし、実はとても手厚い保障で守られているのです。このなかにはフリーランスは加入対象ではないものもあります。次に、会社員とフリーランスの違いについてみてみましょう。