はじめに
北米の子会社は日本と変わらない規模に
Kura Sushi USA,Inc.(KRUS)は、2019年にナスダック市場に上場しており、米国で4月4日に発表された2023年11月~2024年2月期は、売上高が前年同期比30.5%増の5,730万ドルでした。店舗数は、19年8月末時点で23店舗から、年間10店舗程度のハイスピードで増加しており、約60店舗まで拡大しています。
ナスダック市場での評価も鰻登りで、上場時から株価は4倍以上に高騰、時価総額は11.8億ドル。日本円にすると約1,780億円。日本のくら寿司(2695)の時価総額は2,000億円程度なので、ほとんど変わらない規模に育っています。
画像:TradingViewより
海外での和食ブームは以前から耳にしますし、その中でもSUSHIはもっともポピュラーな日本食といえます。Kura Sushiが人気なのも納得ですが、ハイスピードで拡大している理由は、おいしさのほかにも秘密がありました。
拡大理由は低価格の実現とビッくらポン!人気?
1月12日付の米ブルームバーグ通信の記事で、米投資銀行スティーブンスのアナリスト、ジョシュア・ロング氏が、Kura Sushi USA,Inc.(KRUS)の価格は一皿3.20~3.85ドルと、米国の一般的な寿司レストランの半分程度と説明しています。日本では税込で1皿110~150円の価格設定ですから、円換算すると1皿500円程度(!?)のKura Sushiは高く感じますが、米国ではほか寿司チェーンと比べるとお安いそうです。
日本では、競争激化や人口減により成長が見込みづらい上、庶民の味方の代名詞とも言える回転寿司で値上げするのは抵抗があります。一方、日本食ブームと、人口増加が追い風となっている上、インフレに寛容な米国で勝負をかけるのは極めて真っ当な戦略といえます。
ちなみに人件費の高い米国で、低価格を実現できているのは、積極的なIT活用によるものです。店舗内では、タッチパネルでの注文、回転寿司レーンに加え、配膳ロボットが飲み物を運んでくれます。バックヤードでは、シャリの成形などを自動化しており、日本から寿司職人を連れていく必要はありません。徹底的にDX化することで、人件費を極限まで削り効率化することで、他社と比べて低価格で満足度の高いお寿司を提供できているようです。
また、日本のくら寿司でもおなじみの「ビッくらポン!」。米国では、バットマン、スーパーマン、ジョーカーなどお馴染みのキャラクターや、アメリカでも人気の「呪術廻戦」などと積極的にコラボ展開をしており、こちらも人気のようです。5月1日には、ドラゴンボールとのコラボが開始する予定とか。アメリカ人の反応が楽しみですね。