はじめに
12回にわたって続けてきた「金利のしくみ」も、これが最終回です。今回は、どうして金利の知識が必要なのかについて、お話します。
金利の知識が必要な理由
過去11回、金利についてさまざまな話をしてきましたが、金利の知識を身に付けなければならない理由は、ここ最近、日銀が長期金利で1%を超える取引を容認したり、マイナス金利の解除をしたりしたことで、ようやく金利が産まれ始めてきたからというだけではありません。
実際、マイナス金利が解除されたからといって、グングンと金利が上昇するような状況ではありません。一部では「マイナス金利解除によって、変動金利型住宅ローンの金利が上昇してしまうのではないか」と心配する声も上がっていましたが、恐らく、大きく上昇するような事態にはならないと考えています。
なぜなら、マイナス金利が導入された2016年2月の時に、短期プライムレートは下がらなかったからです。
変動金利型住宅ローンは、基本的に短期プライムレートを参考値にしているため、その動きに連動します。ところが、過去の短期プライムレートの最頻値の推移を見ると、最後に引き下げられたのが2009年1月13日で、その後、黒田日銀前総裁のもとで量的・質的金融緩和やマイナス金利導入といった金融緩和策が採られたにも関わらず、低下は確認されていません。
マイナス金利導入時に下がらなかった短期プライムレートですから、マイナス金利が解除されたからといって上昇するという理屈にはなりません。物価水準が徐々に落ち着きを取り戻していることも考慮すれば、おいそれと金利は上昇しないでしょう。実は金利の知識が必要な理由は、もうひとつあるのです。