はじめに

「傷害保険は医療保険に加入しているので不要」と考える方もいますが、大きなけがの場合、後遺症につながるケースもあります。医療保険とはちがう、傷害保険のメリットをお伝えします。


傷害保険にあって医療保険にない保障

傷害保険は、損害保険分野の商品ですが、相手に対する損害賠償ではなく、自分に対する保障です。生命保険分野の医療保険に近い商品ですから、一般的に「医療保険に加入していれば、あえて傷害保険に加入しなくてもいい」という意見もたくさんあります。

では、傷害、いわゆるケガの保障として医療保険でカバーできるのはどんな場合でしょうか?

  1. ケガの治療のために入院をした場合
    医療保険は入院したら日額を払うまたは、一時金を払う保障が基本ですから、ケガでも給付金は支払われます。

  2. ケガの治療のために手術をした場合
    入院と同様にケガでも手術給付金は支払われます。医療保険の多くは、給付金額が若干少なくはなりますが、入院を伴わない外来の手術も対象になる場合が多いですから、医療保険でカバーできます。

反対に、医療保険ではカバーしきれない部分はどんな場合でしょう。

  1. ケガをして通院のみで治療する場合
    医療保険にも通院給付金がある商品はありますが、主に、入院治療後の通院やがん治療のための通院で、通院のみの治療費用を支払う特約はあまりありません。

  2. 実際通院はしないが、長期間ギプス固定で生活をしなければならない場合
    骨折などで入通院はしないが、ギプス固定の場合、医療保険では入通院の費用も手術費用も支払われないので、給付金はありません。

自転車転倒で打撲、骨折などなく、2日の通院で終了、のようなケガでは、治療費も多くはかかりません。すべてのリスクを保険でカバーしようとすると保険料がかさんでしまいます。ケガでも入院が伴う場合は入院費用が支払われますから、医療保険だけしっかり加入していれば、傷害保険不要という意見も間違いとはいえません。

高齢者の傷害保険

医療保険にしっかり加入していれば、傷害保険はなくてもカバーできそうだとお話ししてきましたが、60代以上の人の中には、更新型の医療保険に加入していて、更新後の保険料が高額になり、更新を断念してしまうひとが一定数います。入院給付金がない状態ということです。改めて医療保険に加入するには持病があり、加入が難しい方もいます。持病があっても入れる保険が各社から発売されていますが、保険料は割高ですし、どんな病気でも加入できるわけではありません。高齢になってから医療保険に加入するのはハードルが高いのです。

傷害保険が加入しやすいのは、告知がないことが理由に挙げられます。加入が制限されている職業が一部ありますが、医療保険に加入する時のような、体況に関する告知は不要です。また、年齢によって保険料が上がることもありません。商品により加入できる上限の年齢がありますが、上限まではどの年齢も保険料率が同じです。

例えば、65歳女性の傷害保険の保険料は、年額21,010円
補償内容 傷害死亡・後遺障害450万円 傷害入院保険金日額7500円 傷害通院保険金日額2000円 熱中症の入通院を補償する特約を付けています。

年間2万円程度の保険料でしたら、ケガのリスクが高まる60代にとっても、無理のない保険料ではないでしょうか。もし、医療保険に加入しにくい体況であるひとにとっては、ひとつ持っていていい保険だと考えます。

保険会社によっては、70代以上の高齢者の傷害保険は、日額型ではなく、ケガの部位によって保険金額が変わる商品もあります。基本金額を3000円とすると、捻挫5倍の15,000円、足の靭帯断裂40倍120,000円、腰部の骨折60倍180,000円、のように部位ごとに一時金で払うような商品です。

基本金額3000円 傷害死亡保険・傷害後遺障害保険300万円の保障で年額約25,000円。70歳未満より若干保険料が高く、補償内容も縮小されています。高齢者のケガリスクを考えるとやむを得ないかもしれません。

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