はじめに

2023年は中古車業界にとっては苦難の年でした。中古車販売大手ビッグモーターが、事故車両の修理時に車を故意に傷つけ、損害保険各社に請求する自動車保険の保険金額を水増ししていたことが発覚。過度な営業ノルマなど社内の風土についても批判が高まりました。その影響で、中古車販売会社のイメージは一気に悪化し、業界全体が大打撃を受けました。

2022年の中古車業界は、半導体不足で新車の販売が減少し、その影響で中古車の「タマ不足」が深刻化。2022年の国内中古車販売台数は前年比6%減でした。2023年は、新車の生産回復につれ、少しずつ「タマ不足」が解消され、中古車販売も回復しつつある矢先の出来事に、業界関係者はさぞやショックだったことでしょう。


中古車買取販売最大手のIDOMは予想値に届かないものの…

そんな中古車業界ですが、2024年は一転、熱い年になりそうです。追い風となっているのは、急激な円安進行で、中古車の輸出が活況となり、オークションでの競売価格が上昇しています。そもそも日本の中古車は、故障しにくく状態がよいため、評価が高く、とくにアジアやアフリカなど、今後の経済成長が見込まれる国での需要の高まりが期待されているようです。

そんな事業環境のよさもあって、カーオークション最大手のユー・エス・エス(4732)は、2024年3月期は過去最高益を更新予想です。当社の場合は、中古車輸出販売業者が主な取引相手になるため、ビッグモーター事件の影響は小さく、2022年3月度、2023年3月度と2年連続で過去最高益を更新しています。

画像:IDOM「2024年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

一方で、ビッグモーター事件の余波を受けた、「ガリバー」を運営する中古車買取販売最大手のIDOM(7599)は、2024年度2月期の期中に下方修正をしています。着地の数字は、①売上高419,852(百万円)、②前年同期比0.8%、③営業利益16,117(百万円)、④前年同期比-13.7%で、売上高も営業利益も予想値に届かずという悲しい結果でした。

画像:IDOM「2024年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

ところが、同時に発表された新年度予想は、①売上高456,500(百万円)②前年比8.7%、③営業利益20,300(百万円)、④前年比26%と、驚くほどの強気です。じつは、四半期ごとの業績を単体で見れば、23年12月~2月の直近四半期は、営業利益5,288(百万円)と、同四半期では過去最高益となっており、すでに業績回復へのリスタートは切っているようです。

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