はじめに

今後必要なお金を把握する

家計の現状把握ができたら、次は今後準備する必要のあるお金を把握していきましょう。

Aさんご夫婦はもう1人子どもが欲しいと考えていため、子どもが2人になったことを想定して教育費などの準備をしていく必要があります。

子どもは保育園に預けることになるため、居住地域と世帯収入で決まる保育料を把握しておく必要があります。

次に小学校から大学までの学費です。進学予定としては2人とも小学校から高校までは公立、大学は私立理系で1人暮らしを想定して教育費の準備をしていきたいとのことでした。文部科学省のデータによると、この場合、小学校から高校までで1人あたり約527万円、大学費用は毎月10万円の仕送りをする場合、学費と合わせて約949万円を教育費として準備する必要があります。

また、子どもの進路のことを考え、中学生以降は夫の転勤には帯同せず、単身赴任をしてもらう予定とのこと。単身赴任をする場合、会社からの補助制度がないため、家賃や生活費、帰省費用などを考えると毎月の支出が19万円増加することが分かりました。

家計の見直しを行い、将来必要なお金を試算した結果、このままAさんが働かず夫の収入だけで生活した場合、単身赴任が始まると年間収支が赤字続きになり、貯蓄もなくなってしまうことが分かりました。Aさんに必要な収入を具体的に考える前に、将来に向けて準備しているお金の準備方法も改善できる点がないか確認していきましょう。

将来必要なお金の準備方法を決める

現在500万円の貯蓄に加えて、毎月2万円ずつ定額預金をしているAさん。2人分の教育費は、保険で準備している244万円とこの毎月の貯金で賄おうと考えていました。しかし、それだけでは1人分の教育費すら貯められないと分かり、NISAのつみたて投資枠を活用して、より効果的にお金を増やす方法に変更。2人目が生まれたら、毎月の積み立て額を増やす予定です。

また、夫の企業型確定拠出年金を確認したところ、入社当時によく分からないまま商品選択していたようで、元本保証型の商品を購入していたことが判明。長期運用ならリスクを減らすことができるため、価格変動型の投資信託を選択し直し、将来の受け取り年金額がより増える可能性を高めることができました。

最低限必要な収入額がわかれば選択肢も安心感も増える

これまでの情報をもとにライフプランを作成し、シミュレーションしたところ、Aさんが最低限8万円/月の収入を得られればいいので、扶養内パートとして働けば老後まで安心して生活ができることが分かりました。

Aさんに最低限必要な収入が分かることで仕事の選択肢が広がり、会社員を辞めた後の生活への不安を取り除くことができました。今回、Aさんは夫の転勤をきっかけに働き方を見直しましたが、女性は結婚や出産などのライフイベントで働き方を変えざるを得ない人が多い傾向にあります。

そんなとき、家計が維持できるのか、最低限必要な収入がいくらか分からず不安になることも多いでしょう。漠然とした不安が具体化できれば、解決策も見つけやすくなります。そのために、ライフプランを作成してシミュレーションしてみることをオススメします。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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