はじめに

イスラエルによるイランへの報復攻撃のニュースで日本株相場が急落した4月19日から、間もなく2週間が経ちます。同日に日経平均は一時1300円余り下げ、3万7000円の大台を割り込む場面もありました。その後、株式相場は落ち着きを取り戻し、日経平均は3万8000円台まで値を戻しています。

しかし、この先も順調に戻りを辿り、4万円台を回復できるかというと、そう簡単にはいかないだろうというのが筆者の見方です。というのも、ここにきて日本株相場を取り巻く懸念材料が目立ってきたからです。


いまの米国株は非合理的な価格形成になっている

まず海外の環境ですが、先日、市場を揺さぶった中東情勢は足元では小康状態にありますがいつまた緊張が高まるかはわかりません。ただ、それよりも懸念されるのは米国株市場の動向です。

米国株は4月に入ってから大きく値を下げましたが、その理由は第一にFRB(連邦準備制度理事会)による利下げ期待の後退による長期金利の上昇です。ここで気になるのがナスダック総合指数のほうがダウ平均よりパフォーマンスがよいということです。前述の通り、米国株が調整した理由が金利上昇なら、金利上昇に弱いはずのハイテク成長株を多く含むナスダックのパフォーマンスがよいというのは理解に苦しみます。端的にいって、いまの米国株は理屈に合わない、非合理的な価格形成になっていると思われます。

ナスダックのパフォーマンスをけん引しているのはテスラ(TSLA)やアルファベット(GOOGL)などハイテク大手の株価急騰ですが、これらは決算発表が材料となった短期的反応であると考えられます。そうであるなら、それらが落ち着けば、また長期金利上昇が重荷となって株価は弱含むでしょう。

案の定、4月30日には米国株式市場がまた大きく下落しました。ダウ平均は前日比570ドル安と急落、今年最大の下げ幅を記録しました。1〜3月期の米雇用コスト指数が前期比1.2%上昇と市場予想(1.0%)を上回り、長期金利が上昇したことが背景です。10年債利回りは前日の4.61%から4.68%に上昇し、政策金利に敏感な2年債利回りは一時5.04%に上昇、2023年11月中旬以来の高水準を付けました。ナスダック指数は前日比325ポイント安と大幅に下落。前日に急伸したテスラの下げが目立ちました。
結局、米国のインフレ懸念が払しょくされ長期金利が明確にピークアウトするまで米国株の調整は終了しないと思われます。それはむろん、日本株にとっても足を引っ張り続ける悪材料です。

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