はじめに

2024年の株式市場は、新NISA開始も後押しし、日経平均株価・S&P500などが史上最高値を更新するなど盛り上がりを見せています。

本稿執筆時点では、株高が一服した感がありますが、投資信託は依然、多くの人に買われる状況が続いています。ウェルスアドバイザー「投資信託への資金流出入速報」(2024年5月)によると、2024年4月の国内の株式投資信託(ETF除く)の純資金流入は1兆5,379億円。4か月連続で1兆円を超えているそうです。それだけ、投資信託が買われている様子がわかります。

中でも人気は「全世界株インデックスファンド」「米国株式インデックスファンド」「高配当株ファンド」。どれかに投資している方も多いでしょう。でも、しっかりと内容やリスクを理解して選んでいるでしょうか。「人気だからなんとなく買っている」では、思わぬリスクをとっている可能性もあります。

今回は、全世界株式インデックスファンド、米国株式インデックスファンド、高配当株ファンドがそれぞれどんなタイプの投資信託なのか、どんなリスクかを解説します。


全世界株式インデックスファンドとは?

全世界株式インデックスファンドは、全世界の株式市場に低コストで分散投資ができる便利な商品です。世界全体の経済成長に合わせてお金を増やせる投資信託です。

代表的な全世界株価指数には「MSCI All Coutry World Index」(以下MSCI ACWI)がありますが、こちらは先進国23か国と新興国24か国の大型株で構成されており、世界株式市場の時価総額約85%をカバーしています。

MSCI ACWIに連動するインデックスファンドには「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)[信託報酬:年0.05775%]があり、「オルカン」の愛称で人気ですね。

MSCI ACWIは、次の地域に資産を分散しています。

<MSCI ACWIの投資先の地域の割合>

MSCI All Country World Indexのファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成

MSCI ACWIは合計47か国に投資していますが、投資先の地域の約6割は米国になっています。また、投資先の約9割が先進国、新興国は1割ほどです。各国の資産は各国の通貨で購入するため、通貨も全部で37に分散されています。

MSCI ACWIの投資先の業種や組み入れ上位銘柄は次のようになっています。

<MSCI ACWIの投資先の業種・組み入れ上位10銘柄>

MSCI All Country World Indexのファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成

もっとも多い業種は情報技術になっています。実際、組み入れ上位10銘柄にはマイクロソフト、アップル、エヌビディアといった大企業が並びます。MSCI ACWIは2840銘柄で構成されていますが、上位10銘柄だけで約20%を占めています。

MSCI ACWIのリターンとリスクも確認してみましょう。

<MSCI ACWIのトータルリターンとリスク>※ドルベース

MSCI All Country World Indexのファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成

トータルリターンは投資によって得られた収益率。リスクはリターンの変動幅の大きさを示します。直近10年のトータルリターンは年率8.75%、リスクは年率14.80%です。

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