はじめに
投資型年金保険の適正バランスの目安
投資型年金保険は老後の資金準備として活用しやすい商品と思われるかもしれません。なぜなら、あらかじめ受け取り開始年齢を決めておくことができ、資金計画を立てやすいからです。しかし、運用実績によって受取り金額が変動すること、中途解約しづらいことを踏まえ、資産全体に対して投資型年金保険の割合が高くなりすぎないよう注意しましょう。
Aさんご夫婦の場合、投資型年金保険が金融資産の50%以上を占めていました。参考までに金融広報中央委員会によると、将来のために蓄えている金融資産のうち、保険が占める割合は平均で資産全体の約20%です(参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](2023年))。平均データと比較しても、Aさんご夫婦の金融資産はバランスに偏りがあることがわかります。
Aさんご夫婦にもその旨を説明し、月3万円支払っている投資型年金保険を解約し、自由に払い戻しができる投資信託での積立投資(NISAを利用)に変更することにしました。すぐに現金化できる資産を増やすことで、手元資金が少なくなる不安も解消できました。
適正バランスを考えるにはライフプランを作り、全資産のバランスを見る必要がありますが、資産全体の約20%というのは1つの目安になりそうです。
少子高齢化が進む日本において、自助努力として老後資金の準備をすることは、ますます必要になるでしょう。投資型年金保険を活用するのであれば、保険の特徴を理解し、望まない途中解約で損をすることがないように、家計に合った無理のない保険料で加入するようにしましょう。
【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)