はじめに

60歳目前にiDeCoを始めても遅くないのか?

Aさんから「現在57歳なので、今からiDeCoに加入しても加入期間が数年にしかなりません。あまり意味がないでしょうか?」という質問がありました。

以下の2つの条件をクリアしていれば、60歳目前からiDeCoを利用しても遅くはありません。

①60歳以降も厚生年金に加入して働く
厚生年金に加入している(第2号被保険者である)場合、60歳以降も65歳になるまではiDeCoの拠出を続けることができます。

②受給開始年齢が65歳以降でも家計に支障がない
iDeCoは、老齢給付金として原則60歳から受け取ることができます。ただし、60歳になるまでにiDeCoに加入していた期間が10年に満たない場合、受給可能となる年齢が加入期間に応じて繰り下げられます。加入期間が1月以上2年未満の場合、65歳で受給開始となります。

Aさんは60歳以降も現在の職場に継続雇用され、フルタイムで働く予定です。引き続き厚生年金に加入するため、65歳までiDeCoの拠出を続けることができます。受給開始も退職予定の65歳以降で問題がないことから、iDeCoの利用を決めました。

老後資金をより効率的に貯めるには

iDeCoは掛金が全額所得控除となるため、基本的には年間の拠出限度額の枠を最大限利用することでより控除の恩恵を受けることができます。ただし、前述した通り他にも控除が可能な制度はいくつかあるためバランスに注意しなければならないケースもあります。

掛金は、毎月決まった額を拠出するのが基本ですが、ボーナス払いや年単位拠出(年1回以上任意に決めた月にまとめて拠出)を選択することもできます。ただし、年途中で加入した場合、加入前の経過月に相当する掛金を後から拠出することはできません。拠出可能額は「上限金額×加入月以降の月数」の範囲内となります。

iDeCoの加入手続きには1カ月半~2カ月半かかることが想定されるため、利用を検討されている方は早めに手続きを進めましょう。

iDeCoを利用することで所得控除により税負担が軽減します。本来、税金として支払うはずだったお金をそのままにせず、NISAの運用資金に回すことで、より資産形成の効率を上げることができます。

また、iDeCoを上限金額まで拠出したとしても老後資金の必要準備額に足りない場合、NISAを併用することで、必要な準備額を確保することができます。

iDeCoとNISAを両方利用する場合、運用商品の選定はiDeCoから決めましょう。iDeCoの方が選択可能な商品数が少ないため、iDeCoで選択をした商品と金額を元にNISAの運用プランを決めることで選択肢の幅が広がります。

iDeCoには元本確保型商品もありますが、投資による効果を期待して元本確保型ではない商品を選択する場合、NISAで選択する商品においては、元本割れのリスクがあることを理解の上で老後資金のための資産形成に役立てましょう。

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