はじめに
新NISAで投資をされている方には、長期投資を想定されている方が多いと思います。そのような中、お子さんの学費や住宅購入の頭金など、数年単位での投資を考えている方や、すでにリタイヤをされていてあまり投資に時間をかけるつもりはない方もいらっしゃるようです。
今回は、NISAの成長投資枠で、長期だけでなく、短・中期的に銘柄を探すためのアイディアの一つとなる「Moat(モート)」について紹介します。
Moatは参入障壁のこと
「Moat」という言葉は米株式市場で使われており、“投資の神様”と言われるウォーレン・バフェット氏が使っていることでも知られています。
元々は“堀”という意味を表しますが、投資の世界では、“参入障壁”という意味で使われます。
バフェット氏は投資の鍵について、耐久性のあるMoat、つまり競争障壁を有する製品やサービスを選ぶことが重要であると述べています。企業の競争優位性を見極め、競争優位性の耐久性を重視しているようです。確かに、競争優位性が高く、競合他社がその市場に入りにくい状態が続くなら、企業はそのビジネスで高い収益性を維持しやすいと考えられますね。
Moatに注目した指数
Moatに注目した指数にはMorningstar ワイド・モート・フォーカス株式指数があります。
この指数は米国の投資調査会社モーニングスター社が算出している株式指数のひとつで、持続的に競争優位なビジネスを持ち、相対的に割安と考えられる米国企業で構成されている指数です。
モート評価と公正価値の見積もりは、モーニングスターエクイティリサーチチームが実施した独立した調査を通じて決定されます、とのことです。
モーニングスター社の株式リサーチでは、長期間にわたって経済的利益が維持でき、構造的に競争優位性がある企業を「エコノミック・モート企業」と定義して、企業がもつエコノミック・モートに対して「ワイド(広い)」「ナロー(狭い)」「なし」の格付けをおこなっています。競争優位性が最もワイド(広い)だと格付けされた企業は、それ以外の企業に比べてより長期間にわたって価値を生み出す可能性が高いと考えられているとのことです。
指数連動を目指したETF・投資信託も
Morningstar ワイド・モート・フォーカス株式指数に連動する投資成果を目指す米国のETFに、【MOAT】ヴァンエック・モーニングスター・ワイド・モートETF(VanEck Morningstar Wide Moat ETF)というのもあります。先週末終値で85.72ドルとなっており、1万円台から投資することが可能です。
また投資信託では楽天・モーニングスター・ワイド・モート・フォーカス・ インデックス・ファンドがあり、新NISAの成長投資枠で投資をすることが可能です。運用管理費用は0.55%、先週末(6月14日)の基準価額は1万785円となっています。
5月末時点での組入上位銘柄は、Googleのアルファベットが3%、防衛・航空宇宙のRTXコーポレーションが2.8%、米金融界で躍進するオンライン証券取引会社の最大手で金融サービスの会社のチャールズシュワブコーポレーションが2.5%など。
かなり分散されていることでも魅力がある投資信託だと思いますし、企業の競争優位性を維持する役割を果たすブランド力やコスト優位性など参入障壁に注目した銘柄が選ばれているので、組入銘柄も個別銘柄を選ぶ際に参考になるのではと思います。
では株式投資において参入障壁が高いとされる業界はどこなのでしょうか。