はじめに

目的を決めて資産運用を始める

Aさん夫婦が今後も預貯金のみで資産形成をした場合、Aさん65歳時の貯蓄額は約3,800万円となります。移住費用に必要な5,000万円には1,200万円が足りません。そのため、今年から制度改正されたNISAを活用して資産運用を始めることを検討されています。

資産運用を検討しているものの、ご自身に適した投資金額や期間がわからず、資産運用をなかなか始められない方もいらっしゃるのではないでしょうか。まずはAさん夫妻のように「目的」を明確にしましょう。お金を増やすことはライフイベントを実現させるための「手段」にすぎません。何を実現したいのか、その「目的」が明確にないまま、適切な「手段」を選ぶことはできません。

資産運用の「目的」を明確にするメリット

どんなライフイベントを実現したいのか、お金を増やす目的を明確にすると、適切な資産運用計画が立てやすくなります。

適した制度や運用方法がわかる

資産運用はNISA以外にも確定拠出年金や個人年金保険など様々な手段があります。目標金額と投資期間が明確になれば、利用する制度や運用方法を選択することができます。

お金を使うタイミングを逃さない

目的がないまま資産運用をすると、せっかくお金が増えたとしても、人生の満足度につながらない可能性があります。Aさん夫婦にとっては、実家の建替えをする30年後の65歳が資産運用のゴールとなります。ゴールが明確にあることで資産運用したお金を使うタイミングを逃しません。

短期的な相場下落に一喜一憂せず運用を継続できる

資産運用を行ううえで、マーケット変動の影響を受けることは避けられません。相場の下落によって不安を感じることはごく自然なことです。しかし、目的を定め、長期視点をもつことで、短期的な相場変動に一喜一憂せずに資産運用を続けることができます。

家計のお金を色分けして必要な預貯金を把握する

目的が明確になると、資産運用に必要な額もわかります。必要な投資額がわかったら、次に、投資と預貯金の適正バランスを確認するために家計のお金を色分けします。お金は、使う目的と時期によって、大きく次の3つに色分けすることができます。

(1)万が一のときの生活に必要なお金
万が一のときにも最低限の生活が送れるように、「生活防衛費」としてある程度確保しておく必要があります。一般的には3か月~6か月分の生活にかかる費用が必要だといわれており、Aさん夫妻の場合、100万円~200万円ほどになります。生活防衛費は必要になったときにすぐ使えるよう預貯金など流動性の高い資産で準備しておきましょう。

(2)使う予定のあるお金
子どもの教育費、車やマイホーム購入など、使い道と時期が決まっているお金は、使う「時期」が預貯金で備えておくべきかを決めるポイントになります。

4年後に予定している車の買替え代200万円は預貯金で確保しておきたいお金です。一方、Aさん夫婦の子どもは3歳で教育費も当面多くはかかりません。また、30年後に予定している移住にかかる費用が必要になるのは、遠い将来になるので資産運用で準備できるお金に分類されます。

5年以内に使う予定のあるお金は預貯金、それ以上先に使う予定のお金は資産運用で増やすことを目安とされるといいでしょう。ただし、資産運用は元本保証がない点は注意が必要です。

(3)当面使う予定のないお金
当面使う予定のないお金は資産運用できるお金になります。保有する金融資産から(1)と(2)のお金を差引いた金額です。Aさん夫婦の場合、400万円は預貯金で確保しておき、その他は投資に回していいお金と言えます。

ライフイベントによって預貯金で置いておくべき金額には違いがあるので、より個別具体的に知るためには、ライフプランを作成することをおススメします。

NISA、iDeCoだけじゃない?自分に合った資産形成のはじめの一歩をお金のプロが無料サポート![by MoneyForward HOME]