はじめに

中断証明は、自動車保険の割引等級を、要件さえ満たせば無料で取っておける制度。意外と知られていない、妊娠特則や海外特則なども解説します。中断しても使わずじまいのケースもあります。どのように活用すればいいのか、事例も紹介します。


自動車保険の割引制度

自動車保険は、火災保険や医療保険などと違い、割引・割増の等級制度があります。

1年間、事故で保険を使わなければ、割引等級が1等級ずつ上がり、保険料の割引率が増えていく仕組みです。反対に事故で保険を適用すると、通常の事故で3等級ダウン、飛び石や落書きなど一部指定された事故の場合1等級ダウンのように、割引率が下がってしまいます。

免許を取得し、長年運転を続けているドライバーの多くは、割引等級を積み重ね、高い割引を所有しています。割引等級の上限は20等級。割引率は63%です。大変大きな割引です。

割引の中断とは?

自動車保険に加入しているひとが何らかの事情で保険をやめるとき、条件が合致すれば、今まで積み重ねた割引をそのまま取っておくことができる制度があります。「中断制度」といい、中断事由により3つの種類があります。

1.国内特則
契約中の自動車を手放したり、使用しなくなったりした場合に使える特則です。

自動車の廃車、譲渡、盗難、災害による滅失、車検切れなどの事由が起こった場合、自動車は使えませんから、保険契約は解約することになります。このような場合、解約日と同時に中断証明書を発行することができます。自動車が使えない状態になった後、自動車保険の満期を迎えた場合も、満期日で中断することができます。

車検がまだ残っていて、いつでも運転できる状態だが、仕事の関係で車庫においたまま一切乗っていない。このようなケースは中断できそうに見えますが、車検が有効中で運転することが可能な車では中断できません。

2.海外特則
留学や海外転勤等で契約中の自動車を使用しなくなった場合にも使えます。

海外へ出国するため、しばらく自動車を使わない場合は、国内特則のような条件は必要ありません。海外特則の条件は、中断日が、記名被保険者(主に車を運転するひと)の出国日から6か月遡った日以降であること、かつ、帰国日前に契約していた最後の保険契約であること。この2つの要件を満たせば中断することができます。

3.妊娠特則
妊娠に伴って、契約中の自動車(二輪・原付のみ)を使用しなくなった場合に使えます。

この特則も、自動車の廃車や譲渡などの条件は不要です。二輪自動車、原動機付自転車に限りますが、保険の解約日または満期日までに母子健康法に定める妊娠の届出を行っていることが条件です。母子健康手帳の届出日が記載されたページのコピーがあれば中断できます。

中断証明書を発行するためには、それぞれ確認資料が必要になりますが、保険会社により異なりますので、中断したい場合は加入中の保険代理店などに確認しましょう。

自動車保険の等級は1~20等級までありますが、中断できる等級は7~20等級です。

今後自動車保険に加入することはないだろうと思っていても、将来ライフスタイルがどのように変わるかわかりません。条件により、ご家族に引き継ぐこともできます。中断証明書発行に費用はかかりませんので、中断しておくことをおすすめします。

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