はじめに

2024年に新NISAがスタートして、ブームが起こりました。「とにかく新NISAを使って運用した方がよい!使わないと損」という話も聞きます。

定年後のお金についても、退職金や老後資産も新NISAを使って活用を勧める記事が多くあります。しかし、定年後の資産運用に本当に新NISAを使った方がよいのでしょうか?

今回は、新NISAを使わない定年後の資産運用を紹介いたします。


新NISAで運用しても数年しか資産寿命は延びない!

新NISAは、とてもよい制度です。60代までの資産形成においても役に立ちます。私もそれについては異論ありません。

しかし、60代以降の資産形成で貯めたお金を少しずつ取り崩す段階、つまり資産活用のステージでは、新NISAを使わなくてもよいと考えます。

60代以降は、新NISAは資産寿命を延ばす役割として使うという考え方もあります。貯まった老後資金を運用することで、資産寿命を延ばすことができるからです。たしかに老後資金を運用しないよりも、運用した方が資産寿命は延ばすことができます。とはいっても、資産寿命を延ばすことができても数年です。

たとえば老後資金が1200万円ある場合のシミュレーションをしてみましょう。

シミュレーションの条件は、単身者で、60歳から65歳までは再雇用で年収360万円、65歳から70歳までは週2日の継続雇用になり年収60万円で働き、70歳以降は年金のみでの生活とします。65歳からの年金は200万円、年間の支出は280万円とすると、年間の赤字額は65歳から70歳までは20万円、70歳以降は80万円。この赤字は、老後資金から取り崩して補います。

結果は、運用など何もしない場合には、60歳から65歳までは、年間80万円ずつ貯蓄できるので、65歳の時点では1600万円の貯蓄ができます。しかし、70歳以降は年間80万円の取り崩しになるので、88歳の時点で老後資金はゼロになります。

次に新NISAで運用した場合です。老後資金は、貯蓄400万円、新NISAで800万円と仮定します。800万円は、4年間に分けて新NISAで積み立てをします。平均2%で運用したと仮定すると、65歳の時点では運用益を含めて1641万円になります。それから取り崩しになりますが、まずは新NISAから取り崩します。81歳で新NISAの残高がゼロになり、貯蓄を取り崩します。その貯蓄も91歳の時点で老後資金はゼロになります。運用しないよりも約3年間延びました。

ただし、投資は元本割れのリスクがあるため、あくまでシミュレーションです。

新NISA、何から始めたらいいか分からない…マネーフォワードがはじめての投資をサポート![by MoneyForward HOME]