はじめに
繰下げ受給をすると収支のバランスがとれる
では、老後資金を運用しないで、生活費で使ってしまうケースを考えてみましょう。
どういうことかというと、老後資金を生活費に使っている間、年金の繰下げ受給をするのです。
年金の繰下げ受給を70歳までおこなって、70歳以降に受給開始するのです。年金は受給繰り下げを1年することで、8.4%増額できます。65歳から70歳まで5年繰り下げることで、年金は42%の増額になります(年額200万円が年額284万円に)。
年金を増額することで、老後のお金の収支のバランスを取るのです。収支のバランスが合えば、老後資金を取り崩す必要もなくなります。
先ほどと同じ条件でシミュレーションをします。
60歳から65歳までは再雇用で年収360万円、65歳から70歳までは週2日の継続雇用になり年収60万円で働くとします。年間の支出を280万円とすると、60歳から65歳までの5年間で400万円貯蓄することができ、65歳の時点で貯蓄額は1600万円です。
65歳から70歳までの収入は年収60万円なので、足りない分の年間220万円を貯蓄で補塡します。5年間で合計1100万円かかるため、70歳の時点で貯蓄残高は500万円に減ってしまいます。
しかし70歳以降は、年金が受け取れます。増額になって284万円です。年間の支出は280万円なので、4万円の余裕が出ます。
これで「収支のバランス」が取れることになるので、老後資金の残り500万円を取り崩すことがなくなりました。逆にプラス4万円です。
この500万円は、介護になったときやトラブルに遭遇したときの余裕資金として活用できます。
「繰下げ受給」+「新NISA」
このシミュレーションでわかるように、老後資金の運用で新NISAを使うのがもっともよいというわけではありません。今回は2%と設定しましたが、もし3%で運用ができたならばもっと資産寿命は延びるはずです。とは言っても、年金の繰下げ受給は、年8.4%です。この年8.4%というのは変動ではありません。年金は金融商品ではありませんが、運用商品として考えれば、こんなに確実でよい商品はありません。
ここであげた例は、老後資金が1200万円のケースですが、もっと資金がある場合には、年金の繰下げ受給と新NISAの両方を行うことができます。この方法だとダブルで安心です。組み合わせながら、資産寿命を延ばしてはいかがでしょうか。
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