はじめに
「長期・積立・分散投資」は投資初心者がまずは身につけたい失敗しない投資のための大原則ですが、まとまった資金がある場合は一括投資も検討したいという方も少なくありません。今回は一括投資の可否を判断するプロセスを考えてみたいと思います。
年代別の積立額の平均
iDeCoやNISAの普及と相まって、毎月数万円で投資信託を積立購入する方が増えてきました。株式会社400Fが運営するオカネコの調査では、2024年4月現在新NISAを利用している人の平均積立額は58,628円だそうです。
それだけの金額を毎月積立てていくと、年間で約70万円、30年継続すれば2100万円以上の資金を投資に回すことになります。仮に5%で運用ができれば4800万円ものお金を手に入れることも可能な金額です。
積立額は年代によってバラツキがあります。18~29歳までの平均は42,000円、30歳から39歳までの平均は56,102円、40~49歳までの平均は61,606円、50歳から59歳の平均は59,069円、60歳から69歳までの平均は64,430円、70歳以上でも53,182円の積立をしているということです。
とはいえ、いつまでも積立が継続できるという訳ではなく、多くの場合、就労収入が途絶えると積立を終了し取り崩しの時期に入るのが一般的ではないでしょうか? 先ほどの例でいけば、年間70万円の積立を30年実行するとかなりの金額を作ることが可能ですが、積立投資をスタートした年齢が遅くなればなるほど、積立可能期間が短くなり、その分大きな資金を作ることは難しくなります。
すると、税制優遇の仕組みを最大限利用したい、できるだけ多くの金額を将来の取り崩し原資としたいと、積立ではなくまとまった金額を投資に回したいと思う時もあるでしょう。
実際、しばらく使う予定のない定期預金がある、相続で多額の資金を受け取った、退職金が入ったなど、まとまった資金の運用を検討される方も少なくありません。ご自身なりの投資スタイルがある方であれば一括投資であっても、自己責任の範疇で決断できるのでしょうけれど、もし投資経験が少ない方であれば一括投資をする前に以下の3つのポイントを考える必要があるのではないかと考えます。