はじめに

2024年の財政検証では、5年前と比較して年金の見通しが改善したと発表されました。その要因のひとつとして挙げられているのが、好調な運用で年金積立金が大きく増えたからと言われています。今回はiDeCoやNISAの運用にも参考となる年金積立金の運用内容を解説します。


GPIFの運用

日本の年金積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用しています。ここでは現時点で余剰資金となっている積立金を運用して増やし、将来の年金原資に回していくことを想定し運用を行っています。

ご承知の通り日本の人口は今後減少していき働き手が減っていきます。するとしばらくの間は年金の給付を受ける高齢者と年金保険料を負担する現役世代との関係がアンバランスになるので、積立金は必要なタイミングで資金を補填し年金制度を維持しようと考えられているのです。

GPIFが運用する金額は245兆円と、世界でも類を見ない多額の資金を運用している組織と言われています。またGPIFのミッションは「長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保すること」ととても大きな責任を担っていることも分ります。

運用目標は賃金上昇率+1.7%と言われてもなかなかピンと来ませんが、これまでの運用実績を見てみると、堅実で確実な運用をしていることが分ります。毎年の運用実績はもちろん単年ごとのでこぼこはありますが、2001年から2023年までの平均は4.24%となっており、しっかりと目標は達成してきていることが分ります。

GPIFの運用ポートフォリオは公表されているので、私たちも参考にすることができます。実際、GPIFの運用実績を模した資産運用をしたいという方であれば、ぜひお手本にするべきポートフォリオであるとも言えます。

基本ポートフォリオは、株式と債券に50%ずつ配分されています。さらに、それぞれが国内と外国に半分ずる分散されています。つまりいわゆる基本の4資産と呼ばれる日本の株式、日本の債券、外国の株式、外国の債券に25%ずつというのが基本で、適時リバランスが実行されているのです。

例えば、NISAのつみたて投資枠で購入できる投資信託で見ると、ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産)や三菱UFJつみたて4資産均等バランスが同様のコンセプトで運用されるバランスファンドです。前者の信託報酬は0.15%、後者は0.24%なので、今回は前者の過去の運用実績を詳しくみていきます。

ちなみに、GPIFが負担する「管理運用委託手数料額」は0.02%と発表されています。やはりコスト負担には意識を向けて運用されているのでしょう。とはいえ、その額は490億円ですから、驚くほど巨額です。

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