はじめに

ニッセイ・インデックスバランスファンドの運用実績は?

話がそれてしまいましたが、ニッセイ・インデックスバランスファンドは、GPIFのポートフォリオ同様、日本株式、日本債券、外国株式、外国債券に25%ずつ均等に投資をするバランスファンドです。設定は2015年ですから10年弱の運用実績があります。

過去の実績を見ると5年の年平均利回りは、10.43%です。3年の年率は、10.16%、直近1年は16.56%と発表されています。いわゆるリスクを示す標準偏差は過去5年の実績が8となっています。(2024年6月30日現在)

例えば「オルカン」と呼ばれて人気の三菱UFJ eMAXIS Slim 全世界株式の5年の年率リターンは20.24%で標準偏差は16ですから、4資産均等バランスの方がリスクはだいぶ抑えられた運用をされていることが分ります。

もしNISAでは、GPIFをお手本とした運用をしたいという方であれば、基本の4資産を適時リバランスしてくれるので、上記のようなバランスファンドが便利でしょう。

参考までに、さらに投資対象を広げた「8資産均等」というバランスファンドもあります。こちらは基本の4資産のうち外国株式、外国債券がそれぞれ先進国と新興国に分かれて6資産を構成しそこに日本と先進国のリート(不動産投資信託)が加わり8資産となります。均等ですから12.5%ずつ配分されているということです。

投資信託の評価をしているウエルスアドバイザーというサイトで確認すると、前述の4資産均等バランスのリスクメジャーは2(やや低い)となっていますが、例えば同様につみたて投資枠で購入可能なeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)のリスクメジャーは3(平均的)と評価されています。やはり新興国や不動産への投資比率が高くなることにより、リスクが大きくなる傾向にあります。

実際の過去の実績を見てみると、5年の年率リターンは9.28%、標準偏差は10.19です。従ってリスクを抑えた運用を望んでいる方であれば、8資産均等まで投資対象を広めずとも4資産均等も充分選択肢になり得るのではないかと考えます。(2024年6月30日現在)

4資産均等のバランスファンドがない場合はどうする?

一方iDeCoの場合、運用商品数が限定されている関係上、バランスファンドのセレクションの中に4資産均等がないということもあるでしょう。どちらかというと、バランス70、50、30などといった株式比率をファンド名に表したファンドが多く、その中の株式と債券へ50%ずつ投資するバランス50であってもその投資比率は均等ではなく国内株式への比率が大きいといった傾向もあります。

また「安定型」や「安定成長型」といった名称のバランスファンドでGPIFのポートフォリオに近いファンドもありますが、4資産均等は少なく不動産へ投資をするリートが組み込まれたりすることも多いように思います。

その場合、日本の株式、日本の債券、外国の株式、外国の債券に投資をするインデックスファンドを組み合わせ、自分でリバランスをしていくという方法もとれます。実際緻密なリバランスは非常に技術が必要なことだとも言われますが、タイミングを選ばず決まったサイクルで行う定期的なリバランスであれば可能でしょう。

iDeCoのリバランスは、加入者自身で売却すべき口数を指定しなければならないので、なかなかぴったりと25%ずつの配分に戻すのは大変ではありますが、学びの場としても有効ですのでチャレンジされるのも良いでしょう。

筆者が行うFPアドバイスでは、上記でご紹介した4資産均等バランスをiDeCoやNISAの口座内で購入する方法もお伝えした上で資産全体でのバランスを考えることもお伝えしています。

例えば老後資金作りを目的としているポートフォリオであれば、資産の成長を期待するより、リスクを抑えるために日本の債券をそこに組み込む必要性が低い場合も往々にしてあります。むしろ日本の債券は中期的な目的、5年や10年後に使う目的があるような資金として個人向け国債などを利用し、長期的な運用目的のiDeCoやNISAではポートフォリオからあえて外すということも考え方としてはあるでしょう。

個人の資産運用の場合は、GPIFの運用を参考にしつつ、それぞれの目的、運用の役割の違いに着目し、ご自身なりの運用方針が立てられるようになると良いのではないかと考えます。参考になりましたら幸いです。

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