はじめに

2024年からスタートした新NISAをきっかけに、資産運用を始める方が増えました。すでに異なる方法で運用をしている方のなかには、新NISAの制度概要を知り、「新NISAで投資をすればよかった……」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、投資型年金保険を解約し、新NISAで新たに資産運用を始めたAさん(41歳・女性・パート)の事例をもとに、運用方法を変更する判断基準についてFPが解説します。


投資型年金保険を解約して、新NISAで資産運用を始めた方がいい?

結論からお伝えすると、各家庭の状況によりますがAさんは解約してでも資産運用をした方が良いケースでした。

投資型年金保険とは、おもに投資信託で運用され、運用実績によって将来の年金額が変動する保険商品のことを言います。受取年齢をあらかじめ決めておくことができ、資産を増やせる可能性があります。Aさんは、インフレリスクに備えられ、計画的な老後資金の準備に適していると思い、1年前(2023年)に契約を決めました。

Aさんが契約した投資型年金保険の詳細
保険種類:投資型年金保険(変額個人年金保険)
運用方針:バランス型80(日本を含む世界株式に約8割、先進国の債券に約2割で運用)
保険料:月額3万円
払込期間:40歳から70歳までの30年間
年金受取期間:70歳から85歳までの15年間
年金の受取方法:15年の確定年金(年金受取開始前に受取方法は変更可)
年金額:年120万円(運用実績によって変動あり)

Aさんは、NISAが制度改正により、売却益が全額非課税となる非課税期間が無期限に変更されたことを知り、「新NISAで運用した方がいいのでは?」と、思い始めました。しかし、Aさんは家計の収支バランスを考慮し、資産運用は月3万円までと決めています。AさんはFPに相談した結果、これまでに支払った保険料より受け取る解約返戻金のほうが少なくなる「元本割れ」になるにも関わらず、既存の投資型年金保険を解約し、新NISAに運用方法を変更することにしました。Aさんが投資型年金保険から新NISAへ運用方法を変えようと決めた理由は何だったのでしょうか。

プロフィール
【家族構成】
Aさん(パート(夫の扶養内)・41歳)、夫Bさん(会社員・42歳)、長男(10歳)、長女(8歳)

【収入】
世帯収入合計額:年604万円(手取り年500万円)
(内訳)
夫の収入:年460万円(手取り年360万円)
Aさんの収入:年120万円(手取り年116万円)
その他の収入:児童手当 年24万円(月2万円、子ども2人分)

【年間の世帯支出の目安】
支出合計額:年474万円

生活費合計:年間426万円
(内訳)
生活費:年180万円(月15万円。食費・日用品費・通信費)
子ども費:年64万円
住宅費:年14万円(固定資産税・火災保険)
住宅ローン:年97.2万円(月8万1千円返済。ボーナス返済なし)
車輛費:年26万円(ガソリン代・自動車保険)
自動車ローン:年44万円(残り5年220万円返済)

保険料合計;年48万円(自動車保険・火災保険除く)
(内訳)
医療保険(妻Aさん名義):年6万円
医療保険(夫Bさん名義):年6万円
投資型年金保険(妻Aさん名義):年36万円(月払い3万円)

【世帯の資産状況】
普通預金:400万円
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