はじめに
FX(外国為替証拠金取引)は数百円と少額から始められ、平日は24時間取引ができるので、根強い人気があります。
最近はビットコインなど仮想通貨の話題に少し押され気味ですが、トランプ大統領就任前後から、為替市場が大きく上がったり下がったりしたのでニュースで目にすることも多く、新たにFXを始めた方もたくさんいらっしゃるでしょう。
今回はFXの確定申告について解説します。
FXの利益にかかる税率は20.315%
FXで得られた利益は、「先物取引に係る雑所得等」に該当し、一律20.315%(所得税15%+復興特別所得税+住民税)が課税されます。
この「FXで得られた利益」とは、決済による為替損益とスワップポイントを指します。決済をしていない含み益については課税対象外です。
「先物取引に係る雑所得等」は、申告分離課税となります。これは、損益を1年間合算した金額に定められた税率を掛け、給与所得などの他の所得の金額と分けて、確定申告を行い納税する方法のことです。
支払う税金は「FXで得られた利益」から「FX取引にかかる経費」を差し引いた金額に対して、20.315%の税率を掛けて計算します。
FXの経費に認められるものは?
FXで得られた利益にかかる税金を減らすために、必要経費を差し引くことは必須です。ただし、必要経費として認めてもらうためには、証明できなければなりません。
例えば、FX取引に使ったインターネット通信費や電話代は必要経費に含めることができますが、経費として認めてもらうためには「どのくらいの時間、利用したのか」記録を残す必要があります。
また、FX取引や資産運用に関するセミナー参加費や書籍代、セミナー会場に行くまでにかかった交通費なども必要経費に含めることができます。これらのセミナーや本は、例えばテーマが株や投資信託であっても、投資手法、市場動向、リスク管理法などFX取引の参考になる内容であれば認められます。
「必要」経費とついている以上、FXで利益を得るために必要な費用でなければ必要経費としては認められません。
確定申告すべきかどうか?
FXは利益が出た際、働き方や収入金額によって、確定申告すべきかどうかが異なります。それぞれ解説します。
会社員の場合
給与所得がある場合、年間の給与収入が2,000万円を超えている方には、確定申告が義務付けられています。そのため、FXの所得(FXの利益から必要経費を差し引いた金額)によらず、確定申告しなければなりません。
年間の給与収入が2,000万円以下の人は、FXの所得が20万円を超えている場合、確定申告しなければなりません。
個人事業主、フリーター、専業主婦(夫)、学生の場合
FXで得られた所得に関わらず、年間所得が38万円を超えると、確定申告しなければなりません。
年金で生活している人の場合
公的年金収入が400万円以下で、かつそれ以外の所得が20万円以下の場合、確定申告する必要はありません。逆に、この条件に当てはまらない方は確定申告しなければなりません。
例えば、公的年金収入が400万円以上の人は、FXの所得によらず、確定申告しなければなりません。また、公的年金収入が400万円以下でも、FXで得られた所得が20万円を超える場合は、確定申告しなければなりません。