はじめに

ここ数年、気温35度を超える猛暑日が当たり前のように続くのが、日本の夏となりました。この時期に、観光に訪れた外国人の方にとっては、日本の印象が悪くなるのではないかと心配です。

最近では、熱中症のリスクが高い日には、外出を控えて、エアコンの効いた室内で過ごすよう自治体からアナウンスが流れてきます。とくに小さいお子さんや、年配の方がいれば、酷暑での外出は、命取りになりかねません。
 
9月2日に発表された気象庁からの資料によると、2024年の7月の全国の平均気温は、去年の記録を上回って過去1位となっています。8月も連日「暑い」が合言葉になっていましたから、おそらくこちらも高記録となりそう。さらに、気象庁の見通しでは、9~10月も平気気温は高い見込みとなっています。

この暑さのせいでしょうか? 日本のテーマパークのツートップ、オリエンタルランドとサンリオの株価の明暗が、ぱっきり分かれています。


営業利益は減益着地

上場来高値を更新中のサンリオに比べて、オリエンタルランドは冴えない展開。とくに暑さが気になり始める6月以降の株価の開きが大きくなっています。暑さによる業績の悪化を、株価が織り込んでいるように見えます。

画像:TradingViewより

オリエンタルランドの直近の決算を確認しましょう。

画像:オリエンタルランド「2025年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

2024年7月30日に発表された2025年3月期第1四半期決算は、①売上高148,421(百万円)②前年同期比+5.6%、③営業利益33,336(百万円)、④前年同期比△13.8%と減益着地になっています。

画像:オリエンタルランド「2025年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

第2四半期の営業利益予想は①69,249(百万円)予想ですので、7-9月期は、35,913(百万円)の見込みとなります。7-9月といえば、夏休みで通常であれば稼ぎ期となります。また、6月には3,200億円を投資した「アナ雪」がテーマの新エリアもオープンしていますので、もっと予想を高く見積もってもよい気がします。やはり天候の影響が入園者数のマイナス要因となることを、織り込んでいるようです。

屋外型のテーマパークは、どうしても天候の影響を受けてしまいます。猛暑が続くと、熱中症のリスクや、体力の消耗を避けるために、訪問を控える人が増えます。7月下旬から8月末の夏休み期間は、猛暑でも比較的ファミリー層や学生の来場が多いのですが、さすがに気温が高すぎる場合は、日中の来園者は減り、夜間の来園者が増える傾向があります。夜間のみの利用は、終日利用に比べると、客単価が低くなるため、売上利益にも影響があります。

また、来場者数には、気温が直接的な影響を与えるだけでなく、心理的な要因も絡んできます。猛暑の日には、「暑さで快適に楽しめないかもしれない」という心理的なハードルがあり、特に屋外アトラクションが多いディズニーランドやディズニーシーでは、訪問をためらう人がいます。わたしもその一人で、暑い中、行列に並ぶことを考えただけで、ゾッとしてしまいます。

もちろん、オリエンタルランドが、猛暑対策を行なっていないわけではありません。

・ミストシャワーの設置
・パーク内のシェードエリアの強化
・冷房完備の休憩エリア
・ウォータープログラムの開催
・冷却グッズの販売
・夏季限定の冷たいフードやドリンクの提供
・待ち時間の短縮・アトラクションの混雑管理
・夜間営業の強化

できる限りのことをしていると言っていいでしょう。それでもやはり、屋内型テーマパークには敵わないようです。

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