はじめに

自民党総裁に石破茂氏が当選し、株式市場は大きく動揺しました。投資家は、日銀の金利引き上げに反対、経済政策に積極的な高市氏の当選を先読みし、円安株高が先行していたためです。総裁選当日の27日(金)の日経平均終値は、39,829円で、この1週間だけで2,105円上昇しました。ところが、取引時間後に石破氏の勝利が決まったとたん、急激に円高が進み、シカゴ先物取引所の日経平均先物は37,520円に大暴落しました。


「石破ショック」は一時的?

これを受けて、翌週月曜日の日経平均株価は、前日比1,910円の大幅下落で、石破ショックとなりました。もともと高市氏が当選すると先読みした上昇が剥がれただけではありますが、それにしても、株式市場の石破氏に対する評価はイマイチのようです。その理由としては、石破氏が、金融所得課税の強化を実行したいと発言していること、日銀の利上げを許容すると見られていることです。これらは、株式市場にとっては逆風となります。

とはいえ、総裁になったからといってすぐに政策が実行されるわけではありませんし、これだけ明確に株式市場から拒絶の姿勢を示されたことで、石破氏もネガティブな発言は控えるのではないかと思います。思い起こせば岸田氏が総裁になったときも、金融所得課税の強化について触れたことで、株価が大きく下落し「岸田ショック」と言われました。しかしその後1週間ほどで落ち着き、その後は、ご存じのとおり日経平均株価は、史上最高値を更新しましたので、今回の石破ショックも一時的な反応だと期待しています。

石破ショックでも逆行した銘柄は?

さて、その石破ショックの当日、株式市場は全面安の様相でしたが、その中でもじつは逆行した銘柄がいくつかありました。それは、石破氏が政策として掲げているセクター関連銘柄です。「国策に売りなし」という格言がある通り、政策が後押しする業界は、安心感がありますし、実際、業績も拡大傾向にあります。

石破氏関連セクターとしては、防衛、防災、地方創生、金融が挙げられます。この中で、わたしがもっとも注目しているのは、防災関連です。というのも、もっとも日本国民にとって身近でもっとも早急に強化してほしいという気持ちが湧くテーマだからです。実際、石破氏は、防災省の設立も切望していますので、今後、ますます注目されそうです。

防災関連といってもいろいろありますが、上場している企業では、防災設備を総合的に手掛ける能美防災(6744)、ホーチキ(6745)、日本ドライケミカル(1909)が大手3社になります。大手といっても、いちばん大きい能美防災でも時価総額は、1,722億円程度、ホーチキが616億円、日本ドライケミカルが255億円なので、規模はけして大きくありません。

この3社の石破ショック当日(9/30)の株価は、

  • 能美防災 2,916円(+5.9%)
  • ホーチキ 2,121円(+2.3%)
  • 日本ドライケミカル 3,405円(+2.6%)

画像:TradingViewより

日経平均株価が、1日で4.8%下落したことを考えると、2%以上の上昇は驚くべき快進撃です。

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