はじめに
代表的な円高メリット株の円高下でのパフォーマンスをチェック
ここでひとつ、筆者の中である疑問が生まれます。それは「円高関連株って、本当に円高局面で買われるの?」という疑問です。2012年以降、数か月以上にわたって円高が続いたのは、
②2020年7月~2020年12月
③2022年11月2023年1月
④2024年7月~2024年9月
の4回。この間の代表的な円高関連株のパフォーマンスを見てみましょう。ここでは、為替相場の動向に業績や株価が影響を受けづらい「為替に無関係」な銘柄を除きます。円高メリットを受けるのは、一般的に電力・ガス(石油や天然ガスは輸入に頼っているため)、石油元売り、紙・パルプ(紙の原料の7割程度は輸入に依存)、食品、旅行会社などの業種、セクターとされています。
以下の表は、「円高メリット株」としてよく名前が上がる代表的な銘柄に関して、①~④の間の株価推移を調べたものです。数字は、期間中、最初の月の営業日初日の始値と、期間の終日の引け値の騰落率。期間中につけた高値、安値は考慮していません。そのため、期間中に何らかの理由で一時的に株価が上昇し、その後期間中の月初めの水準より下落しても、数字はマイナスで算出されます。また期間後に株式分割(あるいは株式併合)を実施していた銘柄については、当時の値ではなく、分割、併合を考慮した株価になっています。ちなみに、東京電力ではなく関西電力を採用したのは、東京電力が柏崎刈谷原発という個別の株価上下要因があるためです。
①の期間に関しては、上昇したのが100円ショップ大手のセリアと、海外の自社工場から家具を輸入して販売しているニトリホールディングスの2銘柄のみ。同期間はTOPIX(東証株価指数)が14%近く下落しており、いくら円高メリット株でも、全体相場の売りに押された格好です。注目は、③の期間。TOPIXの上昇率が2.11%と低くとどまっている一方で、円高メリット株に関しては二桁の上昇が目立ちます。また、④は全体相場が大きく下げる中、10銘柄中4銘柄が上昇。円高メリット株として買いが入っている様子がうかがえます。