はじめに
有望株を望外の安値で仕込めるかも!?
2024年10月23日に東証プライム市場に上場を果たした東京地下鉄(東京メトロ)の資金調達額は約3500億円と、大規模なIPO案件になりました。10月25日に同じく東証プライム市場に上場した理学機器メーカーのリガク・ホールディングスの資金調達額も、約1300億円と規模が大きくなっています。さらに、2025年3月頃に非鉄大手のJX金属が新規上場を予定しており、こちらも時価総額ベースで7000億円程度、資金調達額も数千億円レベルになることが見込まれています。これに加え、11月8日には半導体大手キオクシアホールディングスも東証に上場申請を行ったと報道されました。こちらも、時価総額ベースで1兆円近い大型IPOになることが予想されます。
この10月以降、大規模なIPOが続くため、IPO市場に出回る資金の多くは、それらの銘柄に吸収されているということです。先ほど述べたように、IPO市場に出回る資金はある程度決まっているため、他のIPO銘柄に向かう資金はかなり削られるでしょう。
仮に、直近上場の東京地下鉄やリガクの株価が上場後も上昇を続け、購入した個人投資家の懐に余裕が生まれる状況になれば、他のIPO銘柄にも資金が回るはずです。しかし、肝心の大型IPO2銘柄の株価動向はいまのところ冴えません。東京地下鉄の株価は、初値こそ公開価格を41.7%上回る1700円とまずまずのスタートとなりましたが、10月25日には1605円まで下落。リガクについても、初値が公開価格を割り込んで始まるなど、やはりいい船出とは言えない状況です。
直近IPOの中では、9月27日上場のAiロボティクスが現在でも公開価格を大幅に上回る株価水準を維持していますが、10月以降は大半の銘柄の株価が低迷を余儀なくされています。これも、東京地下鉄とリガクの2銘柄が他の銘柄への投資資金を吸収した影響が少なからず関係していそうです。12月のIPOラッシュでも、通常ならもっと資金が向かって(買われて)も不思議はないのに、大型IPOの影響によって資金が回らず、株価が評価不足に陥る会社が続出する可能性があります。
上場後しばらくすれば、中長期の業績見通しや会社計画など、ある程度株価を判断する材料が出そろうことで、その会社の実力や将来性に株価が追い付いてくるでしょう。そう考えると、年末のIPOラッシュでは、将来の大化け候補銘柄の「年末大バーゲンセール」開催となるかもしれません。
この原稿を書いている10月末時点では、12月のIPO銘柄は判明していません。ある程度、銘柄が出そろってきた11月中旬~下旬にかけて、有望なIPO銘柄に唾を付けておき、上場後も株価が急騰しない局面が続けば、株価が下落した隙を見計らって押し目買いを狙ってみてはいかがでしょうか。
株価の大化けを1銘柄ピンポイントで的中させるのは困難です。しかし、その「バーゲンセール」中に資金を数銘柄に分散しておくことで、将来の大化け株を“望外の安値”で拾うことができるかもしれません。IPO市場の需給が悪いいま、爪を研いでおくべき期間でしょう。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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