はじめに
トヨタグループでも進む自社株買い
このような出来事を背景に多くの企業が政策保有を売却・縮減し、自社株買いなどを実行しています。
その代表格がトヨタグループで、グループ内の株式を売却する方針を公表しています。トヨタグループのデンソー(6902)は今後の成長投資や株主還元のために政策保有株の売却を進め、2~3年以内に限りなくゼロに近づけられると発表しています。
また、政策保有株として持っていた14銘柄のうち、アイシンなど3銘柄について全持ち分を売却したほか、豊田自動織機とルネサスエレクトロニクスの一部売却を2024年7月までに完了した事を明らかにしています。売却金額は3587億円です。今後も政策保有株を減らしていき、得られたキャッシュは成長投資と株主還元に充てていく考えを述べています。
一方、豊田織機も2024年10月31日に保有するすべてのデンソー株式、約1億8489万株を2024年12月から2027年3月までの間に売却することを決定した、と発表しました。その他、トヨタグループ以外にも5%を超える自社株買いを発表した太平洋セメント(5233)は株主の皆様へ利益還元を図るため自己株を除く600万株または150億円を上限とした自社株買いを行うと発表しました。発行済株式総数に対する割合は5.18%です。
また、いちよし証券(8624)も自己株を除く発行済み株式数の5.9%にあたる200万株または17億円を上限に自社株買いを実施するとしています。
株主への還元が進むか
今回は政策保有株を背景に様変わりする企業体制と、それをきっかけに自社株買い発表が相次ぐ現状をお伝えしました。
私が証券会社に入社した1988年にはすでに政策保有株は当たり前のように定着しており、長年に渡りたびたび問題視されながらも誰もメスを入れられる状態ではなかった慣習です。
東証による呼び掛けや損害保険会社の不祥事をきっかけにようやく岩塊に割れが生じました。紆余曲折を経ながらも最終的に株主へと還元されることは有り難いですし、道筋に沿ってお金が流れていく様子は本来あるべき姿だと思います。
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