はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

先日、夫が亡くなり約1,000万円の死亡保険金が入りました。現在、私は自営業を営んでおりますが、経営はあまりよくなく、収入がほとんどない状態です。2、3年で現在の商売に見切りをつけ、パートなどで働ければと思ってはいますが、老後、年金だけで生活するのは厳しいと思うので、1,000万円を老後のために、どのようにやりくりすればいいのか悩んでおります。


現在、保険は月額5万円ほど払っています。これらの保険については掛け捨てではないものの、それとは別に、少しでもこの1,000万円を増やせる方法はありませんでしょうか?
(50代前半 子供2人 女性)


内藤: 1,000万円を活用する方法としては、金融資産を使う方法と実物資産を使う方法の2つが考えられます。

低コストのインデックスファンドを活用

金融資産の場合は、低コストのインデックス運用によって長期分散投資を実践していくことになります。具体的には内外の株式、債券、REITといった資産に比率を決めて分散させることになります。

インデックスファンドを活用すれば1,000円から投資ができますので、まずはこの投資商品を活用しましょう。

ネット証券で口座を開設すれば、低コストのインデックスファンドを販売手数料無料で購入できます。配分比率を決めて、タイミングを分けて投資していくとよいでしょう。

1,000万円の中から生活費の3か月分を別にして、それ以外は10年単位の投資資金として使うことができると思います。

アセットアロケーションの具体的な方法については、拙書『初めての人のための資産運用ガイド』を参考にしてみてください。

不動産投資の選択肢も

もう1つは、国内の不動産に投資する方法です。銀行からの借入ができれば、自己資金にローンを組み合わせて、投資していくことも可能です。

現時点では、東京都心の中古ワンルームマンションの手取り家賃収入は4%台半ばですから、1,000万円すべてを投資したとすると、月に4万円前後の収入が期待できます。

将来の収入源として考えるのであれば、ローンを借りて返済を進めて、リタイアした時点からは家賃収入が得られるように計画するのがよいと思います。

いずれにしてもローンが借りられるかどうかを、まずは金融機関に相談してみてください。

投資は長期的な目線で

もちろん、どちらの方法も投資ですからリスクがあります。

たとえば、金融資産の場合は為替や株価の変動リスクがあります。一方、不動産の場合には空室リスクや家賃の下落リスクがあります。

また、ローンを借りる場合に金利が変動金利だと、金利上昇リスクも出てきます。

いずれにせよ、短期の収益を狙うのではなく、長期の資産形成という視点から投資方法を選択することが大切です。

また、保険に関しては掛け金がかなり大きくなっています。契約内容を信頼できる専門家に相談すべきです。その際、無料のコンサルティングではなく、お金を払って客観的なアドバイスをもらえる相談先を探すようにしましょう。

投資の経験がない場合は、まずセミナー参加や書籍を読んで勉強してから行動するようにしましょう。といっても、いつまでも勉強だけしていても、資産は増えません。

勉強と並行して実践の準備も進めていくことをおすすめします。

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