はじめに

長期保有を狙った「累進配当」実施企業が増加

政策保有株式の削減によって、これまで以上に企業は利益を出す事はもちろん、株主に対してイメージダウンを及ぼすようなことは控え、株を「保有し続けたい」と思ってもらえるように努力を重ねる考えが強くなっていきそうです。

このような流れを背景に累進配当を実施する企業が増えています。累進配当とは企業が株主に支払う配当金を毎年増配、または最低でも横ばいの水準で配当し続けることです。これにより、株主にとっては「保有し続けたい」銘柄になるでしょう。

トップは累進配当期間42期の武田製薬(4205)、続いて32期の三菱HCキャピタル(8593)、28期の住友精化(4008)となっています。その他、商社や地銀なども累進配当の実施を増加させています。

また、累進配当以外にも、株主優待を拡充する企業も目立ちます。東証は2022年4月4日から「市場第一部」「市場第二部」「マザーズ」「ジャスダック」の4市場を再編し、新たに「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場を発足させました。その際、上場維持基準を満たしていない企業でも新市場にとどまることができる「経過措置」を設けましたが、この措置が2025年3月以降、順次終了するとしています。

そうした影響もあり、株主に人気のQUOカードを株主優待に選ぶ企業が多くあります。2024年11月から12月上旬にかけて株主優待を新設した企業29社中、13社(4割以上)がQUOカードを贈呈するとしています。

株主への還元は歓迎すべきことですが、気をつけたほうがいいこともあります。財務などに問題がない場合は良いのですが、無理をして株主優待を行っている場合は、株主優待の廃止や株価の暴落など、思わぬ状況に巻き込まれる可能性もあります。

株主の方々は一見有利な優待内容に惑わされ、安易に株を購入しないよう充分気をつけていただきたいと思います。

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