はじめに
2024年末に値下がりしている場合は?
では、2024年末の段階で値下がりしているケースはどうでしょうか?
先ほどと同様2020年にA投資信託を120万円で購入したケースで考えます。今度は年末に100万円と値下がりしていたとしましょう。考え方としては、非課税期間が終了するわけですから、売却して終了するのが原則です。残念ながら利益がでなかったのでNISAのメリットを得ることができなかったとなります。
この際なにもせずに放置していると、前述した通り特定口座にその投資信託が移されることになるのですが、このとき下がった値段が特定口座での取得価格になるという点には注意が必要です。つまりこのケースであれば特定口座での取得価格は100万円です。
では、特定口座に移された投資信託が130万円に値上がったとします。ご本人としては120万円で買ったものが130万円になったので10万円の利益と考えるかも知れませんが、このときの利益は30万円です。なぜならば、特定口座での取得価格は100万円だからです。特定口座は課税口座ですから、この30万円の利益については20.315%である60,945円が差し引かれ手取りは239,055円です。
もし旧NISAでの非課税期間が終了した時点で価格が下がっていても継続保有をしたいという場合は、新NISAの成長投資枠を利用して買い戻す方が良いでしょう。先ほどの例であれば、新NISAの2024年枠がまだ余っているのであれば、年内に売却と買い付けを行いますし、今年の枠を使い切っている場合は、旧NISAの非課税期間内に売却して現金で置いておいて、年明けに新NISAの成長投資枠で買い戻すのが良いのではないかと考えます。
新NISAで投資デビューという方は、この年末年始にぜひ振り返りをしてみましょう。まず現時点での残高を記録します。できれば銀行の預金口座も含めご自身の全財産がいくらなのか確認しましょう。そして今後は毎年同じ時期にこの記録を継続してつけていきます。すると、「我が家」の資産が着実に増えているのか、目標に向かっているのかを目視することができます。
私たちは、口座毎に残高を見ることはあっても、全体を見ることはあまりありません。ましてやそれらの残高の記録を毎年継続している方は本当に少ないものです。資産全体を記録することを今後習慣にしていただくと良いと思います。
資産のリバランス
全体が俯瞰できたら、資産全体の「リバランス」をします。普通預金は普段の生活に必要なお金を置く場所ですから、日常生活費の3ヶ月くらいあれば充分でしょう。「なにかあったときに」と全財産をすべて普通預金に置いておく人もいますが、合理的とはいえません。
次に今後5年以内にまとまったお金を使うライフイベントがないのか考えてみます。お子さんの受験、住宅に関する支出、家族での旅行など、いつ、いくらお金が必要になるのかを記載します。
支出する金額とタイミングが分ったうえで、適切な金融商品をセレクトします。ネット銀行の定期預金、個人向け国債は、中期的な目的のお金を置いておく場所として適切です。
5年以上先の目的については、NISAを用いて積立てていきます。そして老後資金はiDeCoを用いて積立てていきます。年に1回ご自身のお金を整理することで、予定通り資金が増えているのか、もう少し積立に回せるお金がないかをチェックします。ねんきん定期便を見ながら、公的年金の状態も確認したうえで、投資の目的が適切かまで考えられると理想的です。
最後に暮らしを守るお金も見直します。現在の我が家のリスクに見合った保険なのか、一覧にして確認しましょう。特に家族が増えた、転職したときなどは、国からの保障も変化しているのでそれに合わせた民間保険の手当が必要になります。万が一の事態に遭遇すると、予定通りの資産形成もできなくなるので、やはり適切な保険で備えることも大切です。