はじめに

運用資産残高の少ない運用会社のファンドを購入する時は慎重に

なぜなら過日、運用会社のひとつであるPayPayアセットマネジメントが、「運用資産の拡大が計画通りに進まず業績低迷が続いた」という理由で、2025年9月に事業を終了すると発表したからです。

過去、公募投資信託を運用している運用会社で業務停止に追い込まれたケースが2つありましたが、いずれも金融庁の業務改善命令に従わなかったのが主因でした。PayPayアセットマネジメントのように、業績悪化が主因で自ら事業撤退を決めたケースは初めてです。

しかし、PayPayアセットマネジメントと同様、運用資産がなかなか拡大せず苦労している運用会社は、他にもあります。そういうところが今後、業績悪化を理由に事業終了を決断してくるのではないかと懸念しています。

では、未上場企業である運用会社の業績を、どう調べれば良いのかですが、実は運用会社のサイトに掲載されています。

たとえば野村アセットマネジメントの場合だと、「野村アセットを知る」というタブにポインタを重ねると、「財務情報」のタブが現れます。それをクリックすると、2018年3月期から2024年3月期までの財務状況を見ることができます(2024年11月現在)。

ちなみに2024年3月期の同社の営業収益は1462億200万円で、当期純利益は281億8300万円。過去の当期純利益を遡ると、2022年3月期が249億400万円、2023年3月期は260億6400万円なので、増益基調にあることが分かります。なお、野村アセットマネジメントが公募投資信託で運用している額は、10月末時点で60兆592億円です。

一方、10月末時点で運用資産が70億程度の小さな運用会社の損益計算書を見ると、2022年3月期の営業収益が2億4814万1000円で、当期純利益は2705万円で、辛うじて黒字を維持しました。

2023年3月期の営業収益は3億6083万2000円の増収でしたが、当期純損益は1881万円の損失となりました。こうした点からも、運用資産の残高が少ない運用会社の投資信託を購入するのは、慎重にならざるを得ないのです。

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