はじめに

2月~3月は会社員・公務員も「確定申告」をすれば所得税が還付となる

確定申告は、自営業者などが、前年の所得と所得税を計算して、税金の支払いを精算する手続きです。期間は、毎年2月16日~3月15日までです。

確定申告は、主に自営業者などが対象になります。しかし、会社員や公務員も医療費控除などを受けることで、納め過ぎている所得税が戻ってくる場合もあります。

会社員や公務員で以下に該当する人は確定申告をしましょう。

(1)年末調整で生命保険控除の申請を忘れた人
(2)2024年の途中で会社を退職し、年末調整を受けていない人
(3)扶養家族の国民年金保険料を代わって支払った人(社会保険料控除が適用になる)
(4)2024年中に医療費が多くかかった人(医療費控除が適用になる)
(5)災害や盗難などで資産に損害を受けた人(雑損控除が適用になる)
(6)副業での所得が20万円超

医療費が10万円を超えている人が対象になる医療費控除

毎年1月1日~12月31日までに支払った自分と同一生計の家族の医療費の合計が10万円以上の場合、医療費控除を受ければ、所得税を安くすることができます。

医療費控除の対象となる医療費の要件は、以下の2つがあります。

・納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費
・その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費

上記の要件を補足すると、「生計を一にする配偶者やその他の親族」については、とくに「扶養しているかどうか」という要件はありません。家族の医療費を負担した人が医療費控除を受けることができます。

また、医療費控除の対象となるのは、実際に支払った年の医療費です。そのため、年末時点で未払いの医療費は控除対象外となります。ただし、年末にクレジットカードで支払いを済ませた場合は、翌年に口座から引き落とされるとしても、当年の医療費控除の対象として認められます。この際、カード決済時に発行される領収書が証明書類となりますので、必ず保管しておきましょう。

医療費の対象になるものには、医師の診療・治療費、治療を目的とした医薬品の購入、電車やバス等による通院費(急な場合はタクシー代も含む)、あん摩マッサージ、はり、きゅうなどの整体による施術費用などがあります。

医療費控除の金額は「実際に支払った医療費の合計額-保険から支給された給付金-10万円」で計算できます(医療費控除の上限は200万円まで)。

1万2000円を超えて市販薬を買った人が対象になるセルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制とは、医療費控除の特例として利用できる制度です。健康維持や病気の予防に取り組んでいる人が、特定の医薬品を購入した場合、その費用が所得控除の対象になります。

この制度では、対象となる医薬品の年間購入費用の上限は10万円で、実際に控除される金額は「10万円から1万2000円を引いた額(最大8万8000円)」です。対象となるのは「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる特定の薬ですが、中には「キューピーコーワiプラス」「バンテリンコーワ液α」「新ルルAゴールドs」「バファリンEX」「アリナミンEXゴールド」など、普段からドラッグストアで目にするおなじみの市販薬が多く含まれています。気になる方は厚生労働省のホームページで確認しましょう。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について|厚生労働省

なお、医療費控除とセルフメディケーション税制の併用はできません。両方ある場合は、有利な方を選んで申告しましょう。

副業で「収入-経費=20万円超」の方は忘れず確定申告を

副業での前年所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。副業先に「支払調書」の発行を依頼して、確定申告の準備を整えておきましょう。また、ダブルワークの場合も、年末調整をおこなった主になる会社以外の所得が20万円を超えたのであれば確定申告が必要です。

2025(令和7)年分の住民税は6月から切り替わる

住民税は、その年の1月1日現在で居住している人が、住所地の自治体に対して納める税金です。住民税は、徴収方法が「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。会社員や公務員の方は給与から天引きされる「特別徴収」です。直近の2024年分の所得をもとに住民税を計算して毎年6月から切り替わり、翌年5月までの12回に分割して納付します。自営業者やフリーランスは、本人に各自治体からの納付書が届く「普通徴収」です。
なお、前述の税制改正の適用は2026(令和8)年度からの適用となります。

ふるさと納税利用者は「住民税決定通知書」で控除を確認

6月に住所地の自治体から、住民税の税額を通知する「住民税決定通知書」が届きます。2024年にふるさと納税を利用した人は、「住民税決定通知書」の中の「寄付金控除」または「税額控除額」の金額が、2025年の「ふるさと納税額-2000円」とおおよそ同額になっているか確認しましょう。近い数字になっていれば、無事に税額控除されており自己負担が2000円だけとなっています。

まとめ

今回の税制改正は、所得控除の拡大や扶養控除の見直しなど、働き方や家計に影響を与える重要な変更が盛り込まれています。これを機に、自分の働き方や収入プランを見直してみましょう。例えば、「123万円の壁」や「特定親族特別控除」を活用して収入を増やしたり、iDeCoの掛金引き上げを活用して老後資金を効率よく積み立てたりが有効です。さらに、確定申告やふるさと納税を上手に活用して、家計を助ける工夫も積極的に行いましょう。

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