はじめに
投資において「リスク許容度」を把握することは非常に重要です。リスク許容度を正しく理解しないまま投資を始めると、想定外の損失に耐えられず、感情的な判断で資産を失うリスクが高まります。一方、リスク許容度を明確にしておけば、自分に合った資産配分や投資戦略を立てられ、長期的な資産形成が可能になります。この記事では、リスク許容度を決めるためのステップや具体例を解説します。
リスク許容度の2つの側面
リスク許容度には、経済的なものと心理的なものの2つの側面があります。
経済的リスク許容度は収入や資産、生活費から判断する客観的なリスク許容度で、自身でポートフォリオを組む際に調整することができます。例えば株であればATR(アベレージトゥルーレンジ)という指標でどのくらい値動きするかを鑑みて決定するなど、事前に考えることもできます。
心理的リスク許容度は、損失に対する感情的な耐性や、ストレスへの強さを指します。2024年には“令和のブラックマンデー”で三井住友フィナンシャルグループのような有名な大型銘柄も、市場環境によってストップ安をつけるような場面もありました。例えばそのような時に「この企業を取り巻く環境や決算が変わったわけではないので一時的な下落なら大丈夫。長期保有すれば戻るはず」と冷静に判断するか、「これ以上下がったらどうしよう…売ったほうがいいかも」と不安になるか、あなたはどちらですか?
心理的リスク許容度が高いか低いかは、ご自身の性格や経験値によって異なります。リスク許容度を正確に決めるには、このような心理的側面と経済的側面を総合的に考慮する必要があります。
では、リスク許容度を決める3つのステップを見ていきましょう。
【1】投資の目的を明確にする
まず、自分が何のために投資をしているのかを明確にすることが重要です。目的によってリスク許容度が変わるからです。
例えば老後資金を作る目的で投資をしている場合、目標達成までの時間が長ければ保有して待つこともできますよね。そのため、リスクを多めに取ることも可能かもしれません。ただし手仕舞いのタイミングが近づくにつれてリスクを抑える必要があります。自分が資金を現金化したいタイミングで市場が上昇しているとは限らないためです。
あるいは子供の教育資金のために投資する場合なら、大学進学時期が10年後であれば最初は高リスク資産を組み入れ、5年以内になったら良きタイミングで高リスク資産を安全資産にシフトしていく…という流れなどを想定しておくと良いでしょう。1~2年以内に使う資金はリスクを抑えるか、短期的に売買していく必要があります。
つまり目的が短期的か長期的かで、どれだけリスクを取れるかが変わる、と考えておくと良いと思います。