はじめに
【2】失っても生活に影響がない資金を把握する
次に、ご自身の経済状況を確認し、自分が「失っても生活に影響が出ない資金」を把握することが重要です。以下の項目を考慮してみてください。
•月の生活費
•緊急資金(最低3~6か月分の生活費)
•固定収入の有無
例えば月々30万円の固定収入のある30代で、生活費は20万円、貯蓄が500万円あるならば、リスク資産に回せる額は最大で200万円程度でしょうか。ただし最初から全額を投資していくのではなく、少しずつ経験を積んでいくのが良いと考えます。数万円ずつ積み立てに回していく方法も現実的ですね。
一方で、同じ30代で貯蓄が500万円でも、自営業で収入が不安定な場合、すぐ使える現金は多めにあったほうが良いでしょう。リスク資産に回せるのは数十万円程度で、多く稼げた月に投資に回していく方法がいいと思います。資産をすべて投資に回すのではなく、あくまで余剰資金をリスク資産に投じることが重要です。
【3】心理面でのリスク許容度を把握する
次のステップは、心理面でのリスク許容度を把握することです。以下の質問に答えてみてください。
(1)投資金額が20%減少した場合、どうしますか?
A: そのまま保有する
B: 一部を売却する
C: 全額売却する
(2)投資の経験は?
A: 豊富に取引した経験がある
B: あるが、ただ買って持っているだけ、もしくは歴が短い
C: 投資初心者である
(3)資産が急激に増減するのは気になりますか?
A: 全く気にならない
B: 少し気になる
C: 非常に気になる
Aが多い方はリスク許容度が高く、個別株に投資をしたり、成長株や新興国株式を保有することも可能だと考えます。一方でCが多い方は多くのリスクを取るのは現状では難しく、債券や安定型ファンドが適切です。目的を達するために、今の投資資金を利回り高めに運用していかなければいけないのであれば、トレードを学んだり、小額ずつ経験をしっかり積んでいくことが必要でしょう。
投資は「自分自身を知る」ことから
リスク許容度は、時間の経過やライフイベント(結婚、転職など)によって変わります。少なくとも年に1回、自分の資産配分や投資状況を見直しましょう。
自分の許容度を超えたリスクを取ると、感情的な売買をしてしまう、例えば暴落時に慌てて売却し、大きな損失を確定してしまったり、必要資金が投資で減少し、生活に困窮するなど実生活の悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
ご自身の資産を増やすために投資をしたのに資産が減ってしまっては、何のために投資をしているのかわかりませんし、ストレスも抱えることになってしまいますよね。投資のリスク許容度を決めることは、成功する投資を実現するための第一歩です。自分の経済状況、目的、心理的耐性を客観的に分析し、それに基づいた投資戦略を立てることで、安心して資産形成に取り組めます。投資は「自分自身を知る」ことから始まります。焦らず一歩ずつ、ご自分に合ったリスクとリターンのバランスを見つけてください。
この連載が少しでも皆様の投資の参考になれば幸いです。
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