はじめに
会社員は年末調整を経て、翌年に確定申告を
年末調整とは、毎月の給与や賞与から差し引かれた源泉徴収額と、本来納めるべき所得税の差額を清算する手続きのことです。
会社員は、給与や賞与などから一定率の所得税が差し引かれます。会社が所得税を本人に代わって納付する仕組みを「源泉徴収」といいます。しかし、源泉徴収額は概算であり、正確な納税額ではありません。そのため、1年の終わりである12月に、年末調整で正確な所得税の精算がなされます。源泉徴収額の過払いがあれば、差額は還付され、納税額に不足があれば追加で徴収されることになります。一般的に年末調整は、その年の11月から12月にかけて行われます。年末調整は必要な申告書を記入し、勤務先の会社に提出することで完了します。
しかし、会社に勤めながら副業をしている人は、勤め先で年末調整をしていても副業所得が20万円を超える場合は確定申告をしなければなりません。年末調整を会社で完了させたのち、翌年に確定申告をする流れになります。ここでいう副業所得とは、収入(売上)から経費を差し引いた金額のことを指します。Aさんの場合、副業収入50万円から経費20万円を差し引いた30万円が副業所得にあたります。
副業で確定申告をするならおさえておきたい経費とは?
Aさんはご相談の中で、「経費(正式名称は経常費用)はどのような費用が対象になるのかわからない」といいます。経費とは副業の収入を得るために直接関連する支出のことを指します。確定申告の時に経費計上することで、課税される所得額を減らすことができます。では、経費は、どのような費用が対象になるのでしょうか。
Aさんが副業としている動画制作を例にあげると、動画撮影に必要な機材(カメラ、レンズ、三脚など)や照明機材などが該当します。また、撮影場所までの移動費として電車代やバス代、タクシー代、ガソリン代も対象となるでしょう。制作した動画を宣伝するための費用も経費に含まれます。それ以外にも副業収入を得るために必要な費用は経費に含まれます。
経費計上するためには、個人的な使用ではなく直接事業に関連している必要があります。そのためにも経費に使った支出の証拠として、請求書や領収書はしっかりと保管しておくようにしましょう。また、プライベートと兼用する支出(家賃・通信費等)は、副業に使う割合を計算して記録しておかなければなりません。
経費計上をうまく活用することで課税対象所得を軽減する効果があります。そのために適切に証拠を残し、収支を記録しましょう。税理士などの専門家に相談することでより正確な経費計上が可能になりますので必要に応じて活用するのも一つです。