はじめに

株式投資で直面する「3つの坂」をご存知ですか?

「上り坂」「下り坂」、そして「まさか」のことです。それぞれの坂において異なる状況とリスクが存在し、それに応じた戦略を立てることが重要です。

1月20日にはいよいよトランプ新大統領が就任しますし、FOMC、次元金融政策決定会合と日米の中金イベントも控えています。株式市場でも値動きが激しくなることが予想されます。

そこで今回は、「3つの坂」に直面した際の考え方についてお伝えします。


上り坂:市場が好調な局面

上り坂は「上昇トレンド」とも言います。特徴としては株式市場が上昇しており、株式を保有している投資家の資産が順調に増える時期です。投資の成果が見えやすく、成功体験が積み重なるタイミングである一方で自己能力を過大評価しがちで過信しやすい環境でもあります。そのため戦略としてまずは冷静さを保つこと、上り坂が「いつまでも続かない」ことを意識することで下落の局面が来た時に迅速に対処することが可能となります。

利益が増えてくると、もっとたくさんの利益を得たいと言う気持ちになり、ポジションを増やす行動を取る投資家も増えてきます。たくさんの人が「このまま上昇していくのでは?」という気持ちになった時ほど、その上昇トレンドの1番上の高値となることも多いです。

そんな時には無計画なポジション拡大を避けることが必要です。利益確定の目標を設定しておき、過度に欲を出さずに、上昇相場でも利益を部分的に確定させ、ポートフォリオの安定性を保つことが必要でしょう。

それでもポジションを増やしたい場合は、その日のうち利益を確定できるような短期間の取引にするべきです。日本市場が空いていないロンドンタイムやアメリカの市場が空いている時間に大きなニュースが出たり、株価変動があったりしても大丈夫なポジションにしておいた方が良いでしょう。

そして、次の局面に備えることも意識しておきましょう。上昇局面で得た資金の一部を現金化し、次の下落に備える資金として蓄えておくと、株式を保有している人間にとってリスクと言える「下り坂」が、買いのチャンスになります。

下り坂:市場が下落する局面

株式市場が下落し、資産が減少する時期です。株式を保有している投資家にとって心理的につらい局面ですが、改善の余地があると言えますし、備えておけばピンチがチャンスにもなります。

戦略としてはまずリスク管理の徹底が必要です。投資額を縮小し、1銘柄あたりの投入資金を減らしておくこと、分散投資を徹底してリスクを分散する。これを日ごろから心がけておくと、下り坂のタイミングも、資産の損失が限定的で済みますし、下落を我慢することもできるでしょう。

一時的な休止を検討してみるのも良いと思います。下落局面が続く場合(損失が続く場合)トレードを一時休止し、市場の回復を待つのも1つの策です。急落によって、通常の精神状態ではない時に、焦って売買をすると失敗をしてしまう可能性が高まります。この間にトレード手法や売買ルールを見直すのもよいでしょう。

そして下落時は長期投資家にとって買いのチャンスでもあります。無理のない範囲で資金を準備し、優良銘柄の買い増しを検討してみるのも良いでしょう。

「上り坂」と「下り坂」を利益に変える場合は、トレンドが転換する際になるべく早く優位性のある方に買いや売りのポジションを取ると利益が伸びるわけですが、保有する株式の利益が増えてきた際に、トレンドが転換しそうな場合は早めに利益を確定してしまうのも資産を防衛する上でとても大切です。

経験が増えてきたら、上昇トレンドが下落トレンドに転換する際に信用取引で売ったり、日本株の場合は日経平均のインバース(日経平均が下落した場合に利益が出る商品)型のETFなども活用して、下落の動き自体を利益に取っていけると資産がより早く増えていくことにつながります。

新NISA、自分に合った投資金額をお手軽に診断!マネーフォワードMEプレミアムサービス[by MoneyForward HOME]