はじめに
2025年がスタートし、今年の新NISAの成長投資枠をどう活用していくか悩む方、高利回り運用に興味を持たれる方も多いようです。そこで今回は高利回りの考え方や、メリット、注意点、また今利回りが上がっている商品などをお伝えできればと思います。
高利回り運用を考える上で、まず「利回り」の基本を確認しましょう。利回りとは、投資した資金に対してどれだけのリターンを得られるかを示す指標です。利回りを計算することで、投資の効率を判断することができます。
計算式は【利回り (%) = (年間配当金÷投資金額) × 100】となっており、例えば、ある株式を100万円で購入し、その株が年間5万円の配当金を生む場合、利回りは以下の通りです。
【利回り(%) = (5万円÷100万円) × 100 = 5%】
利回りの計算は、投資対象の収益性や安定性を評価できる基礎的なスキルと言えます。
高利回りの魅力
高利回りのメリットは安定したキャッシュフローを確保できるという点です。
高配当株やREIT(不動産投資信託)などの投資先は、定期的に安定した配当や分配金を受け取ることが可能です。特に、配当金は景気変動の影響を受けにくい収益源となります。また配当や分配金収入がある投資先は、価格変動によるリスクをある程度緩和する効果があります。
ただ企業の業績によっては配当がなくなるリスクもあります。連続増配や累進配当の方針を打ち出している銘柄、安定した業績や配当を続けている銘柄を選ぶとリスクは低減するでしょう。
加えて資産形成の効率化に寄与する可能性もあります。高利回り運用は再投資を通じて複利効果を活用することで、長期的な資産形成に寄与します。
例えば100万円を5%の利回り(年利)で運用した場合、単利だと25万円の利回りですが、複利では約27万6,000円の利益が得られる計算となります。10年だと単利で50万円、複利だと約62万9,000円、20年だと単利で100万円で倍となりますが複利だと約165万3,000円と、保有する時間が長くなればなるほど複利の効果は効いてきます。
銀行に預金をしているだけでは利回りが低いことを考えると、保有するだけで利益を運んでくれる高利回り銘柄に魅力を感じる方も多いのでは。
高利回り銘柄の見るべきポイント
続いて日本株における高利回り銘柄のチェックポイントを確認していきましょう。高利回り銘柄とは、株価に対して配当金の割合が高い企業を指しますが、日本株市場で高利回り銘柄を探す際には、以下のポイントを重視しましょう。
まずは業績の安定性です。配当は企業の利益から支払われるため、業績が安定している企業は高配当を維持しやすい傾向があります。特に製薬業界やインフラ関連企業など、景気に左右されにくい業種が狙い目です。「それ知ってる!」という商品、替えの効かないようなブランド力を持っている銘柄は相対的に強いといえます。財務も重要です。資金が潤沢にない場合は減配や無配リスクがあります。
また「配当性向」はしっかりと確認しておきましょう。配当性向とは、企業の利益(純利益)のうちどれだけを配当に回しているかを示す指標です。日経新聞社によると日本企業の2025年3月期の配当性向は36%の見通しとなっています。配当性向が高すぎる場合、将来的な配当維持が困難になるリスクがあるため、バランスが取れた水準(業種によりますが40~50%くらい)を目安にすると良いでしょう。
ただし注意しなければならない点は、利回りが高い銘柄を買えばいいわけではないことです。なぜなら同じ配当金額でも株価が下落すれば利回りが上昇するからです。株価下落の背景が一時的な要因か、構造的な問題かを見極める必要があります。