はじめに
コロナ明け以降、インバウンドは何度も浮かび上がる投資テーマです。
コロナで消滅した外国人観光客は、渡航制限解除によって戻ってくるのは当たり前といえば当たり前。そのため、わりとアフターコロナの早い段階で株式市場でもインバウンド銘柄は物色されました。 その代表格が百貨店界隈です。
2025年訪日外国人客は過去最高予想
コロナ前から、中国人観光客による爆買いが話題になっていましたので、ふたたびその需要が戻ってくるとの期待もありました。実際には、団体客の渡航制限がなかなか解除されなかった中国観光客よりも、ほか地域からの観光客の訪日が多く、その点はある意味、予想外ではありましたが、円安効果もあり、長く低迷していた百貨店の業績は改善傾向にあります。
株価はつねに実態を先読みしますので、百貨店の株価は、2022年の前半から上昇しはじめ、2024年7月にいったん天井をつけたような形になっていました。そろそろ訪日客の伸び率も鈍化してくるとの警戒があったのかもしれません。また、投資家としては、インバウンド=百貨店という王道のテーマに飽きたのもありそうです。わたし自身、いまさら百貨店?という気持ちがあることは否めません。
ところが、日に日に増す観光客の多さに、やはり王道の百貨店銘柄は抑えておくべきではないかと思い始めました。JTB「2025年(1月~12月)の旅行動向見通し」によると、2025年訪日外国人旅行者数の予測は4,020万人で、2024年の過去最高をさらに更新します。日本の魅力が世界にバレてしまった以上、ここから先は、真の観光立国としてますます発展していくでしょう。その波に投資家として乗らないわけにはいきません。
百貨店ビッグ3の株価は?
百貨店ビッグ3といえば、三越伊勢丹ホールディングス(3099)、阪急うめだ本店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリング(8242)、大丸松坂屋を運営するJ.フロントリテイリング(3086)です。
3社とも2024年の7月に高値をつけて、その後株価は調整していましたが、じつは、J.フロントリテイリングは、そこから株価は回復し、高値を更新しています。3社のうち当社だけが、2月決算のため12月25日に第3四半期決算を発表しており、その結果、ほか2社より先んじて株価が上昇しているのかもしれません。
では、実際にJ.フロントリテイリングの決算を見てみましょう。
営業利益は51,142(百万円)、前年比66.7%増で、通期予想に対してはすでに98%に達しています。この勢いが続けば、おそらく予想を達成して着地するでしょう。
当社は、とくにインバウンド需要を意識し、免税対応や多言語サービスを強化しています。大丸は大阪・神戸などの関西圏、松坂屋は名古屋を中心に歴史ある店舗を持っており、都市型と地域密着型をバランスよく展開しています。また、パルコを傘下にもち、若者向けのファッションやカルチャーにも強いのが特徴です。
ほか2社については、どちらも52週移動平均線で押し目をつけて、ふたたび上昇しそうな形を描いています。
この原稿を書いている時点では、両社ともまだ決算発表が行われていないため、決算内容次第では、ふたたび2024年7月の高値を更新してくる可能性は十分あります。