はじめに

三越伊勢丹と大丸松坂屋はどちらが魅力的?

今から百貨店株を買うなら、3社のうちどこがよいかを決めるのはなかなか悩ましい状況です。すでに高値を更新しているJ.フロントリテイリングは、いったん置いといて、ここから上昇しそうな三越伊勢丹と大丸松坂屋を比べてみましょう。

株価の割安さを測るPERで見ると、三越伊勢丹は17倍、エイチ・ツー・オーリテイリング9.3倍とかなり差があります。これだけみるとエイチ・ツー・オーリテイリングのほうが、だいぶ割安に感じますが、3年間の平均PERは三越伊勢丹が22.6倍、エイチ・ツー・オーリテイリングは13.8倍なので、平均値からみた割安さは、同じくらいのレベルです。

ちなみに、PERは、株価の割安さを測ると同時に、投資家からの評価や期待という側面もあります。高ければ高いほど、投資家からの評価や期待が高いともいえるのです。そういう一面から見ると、エイチ・ツー・オーリテイリングより、三越伊勢丹のほうが、投資家からの評価はそもそも高く、魅力的だと考えられます。

2社を代表する百貨店は、新宿伊勢丹と阪急うめだ本店で、まさにこれは東西対決! どちらも「ラグジュアリーの聖地」として人気が高く、甲乙つけるのは至難の業です。ただ、PERでこれだけ差がついているのは、営業利益率の差かもしれません。

三越伊勢丹の今期予想での営業利益率は12.9%、それに対して、エイチ・ツー・オーリテイリングは4.55%。この差の要因は、三越伊勢丹が、利益率の高い百貨店事業が売上の75%程度を占めているのに対し、エイチ・ツー・オーリテイリングは、25%程度です。その代わり、利益率の低いスーパーなどの食品事業が売上の60%近くを占めているため、全体の利益率を押し下げています。食品は値上げも難しいため、利益率の改善には限度があります。その点を考慮すると、PERが高くても三越伊勢丹のほうが有望に感じます。

日本百貨店協会によると、百貨店の面積あたりの売上高は、百貨店全盛期だった20年前のレベルまで戻りつつあります。これは、高額品の売上が購買単価を押し上げているおかげで、高級品に力を入れている三越伊勢丹には好材料です。

2月4日に三越伊勢丹、5日にエイチ・ツー・オーリテイリングが決算を発表します。決算内容を確認し、百貨店株の今後の動きを見極めていきましょう。

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