はじめに

米大統領「就任1年目」の米国相場はプラス優勢

2024年は、世界経済に大きな影響を与える米国の大統領選挙が行われました。その結果、ドナルド・トランプ氏が勝利。第47代大統領の座に就きました。トランプ大統領は就任早々、関税引き上げや不法移民対策の強化などに着手し、世間を大きく騒がせています。米国の株式相場も、すでにトランプ大統領の言動によって大きく上下するなど波乱含みで推移していることは周知のとおりです。

では、過去の大統領選挙の翌年、ニューヨークダウ平均株価の動向はどうなっているのでしょうか。ダウ平均の算出が始まった1896年以降、32回の大統領選挙が行われました。就任年のダウ平均株価の勝敗(年末の値が年初の値を上回れば勝ち)は「18勝14敗」で、平均騰落率はプラス7.6%と「勝ち」が優勢になっています。

1985年のレーガン大統領以降の10回は8勝2敗、平均騰落率は17.2%のプラス。勝率、上昇率ともに高くなっているのが特徴です。背景には、1980年代半ば以降、日米を中心に世界経済が順調に拡大したことが関係しているのでしょう。また、全32回の大統領選のうち、大統領の出身政党が共和党から民主党、あるいは民主党から共和党に移行したのは13回で、勝敗は7勝6敗、平均騰落率はプラス8.3%でした(バイデン前大統領が就任した2021年は18.6%のプラス)。勝率、平均騰落率とも全ケースに比べて下がっているのは、「政権交代」による不透明感が関係しているものと思われます。

もちろんこれは単なる統計であり、2025年の勝敗や騰落率がどうなるのかはわかりません。ただし、関税引き上げに代表されるトランプ大統領の主張や政策に、株式相場の波乱となるタネが潜んでいることは確かです。

トランプ大統領の言動と中国勢の台頭に要注意

今回は「干支」と「米大統領選翌年の米国相場」という2つのアノマリー及び傾向を紹介しました。この2つを合わせて現状を考えると、2025年は「上昇相場は維持しそうだが、米国の政権交代による不透明感によって相場が荒れる可能性がある」といったところでしょう。

米国相場は1月半ばから2月半ばにかけて上昇し、過去最高値を更新しました。ただ、2月20日から21日にかけ、景気や政策不安を背景に急落に転換するなど、この先の波乱相場を予感させる値動きになっています。現時点では、相場の流れを大きく変えるような金融不安やショック安などは起きていません。それを予見させた中国のAI開発企業ディープシークによる「ディープシークショック」はいまのところ沈静化しており、ただちに日米株式相場の土台を揺るがすような事態には発展していませんが、予断を許さない状況であることは確かでしょう。

投資家は、トランプ大統領の言動や、ディープシークをはじめとしたAI業界の中国勢の台頭によって、株式相場に何らかの転換点が訪れ、「辰巳天井」の通りになる可能性を念頭に置いておくべきかもしれません。

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